2026年に投資すべきは「生成AIモデルではない」理由
生成AIビジネスというと、OpenAIやGoogleなどの生成AIモデルを提供する企業が注目されてきたといえます。しかし、生成AIモデルを活用したビジネスやアプリケーションも次々と誕生している状況です。それらは、提供しているビジネス価値によって次の3つのレイヤーに分類することができます。ここでは、2026年以降に企業がどこに投資の軸足を置くべきかを見ていきましょう。
Foundationレイヤー
- プレイヤー:OpenAI、Anthropic、Googleといった生成AIモデルを提供する企業、Microsoft、Amazon、Googleといったクラウドインフラプロバイダー
- 役割:高性能化・カスタマイズ性の強化・低コスト化など、より良い生成AI技術の提供
Applicationレイヤー
- プレイヤー:生成AIを活用して業務を支援、もしくは自動化するSaaSやアプリケーションベンダー
- 役割:AIエージェントなどによる業務の自動化・効率化
Dataレイヤー
- プレイヤー:生成AIを活用するためのデータプラットフォーム、生成AIの活用によって生まれる新たなデータのプラットフォーム化を担う企業
- 役割:多種多様なデータを構造化し、生成AI活用に適したプラットフォームを構築する。また、データの価値抽出と競争資源化を促進する
もちろん、すべての生成AIビジネスを上記3つのレイヤーに明確に分けられるわけではありません。しかし、どこに軸足を置いてビジネスを展開するかが、2026年以降の大きなポイントとなると考えられます。では、どこに注目すべきなのか。
この3つのレイヤーの中で、2026年以降日本企業が投資をするべき領域はすばり「Dataレイヤー」です。
アプリケーションサービスによる業務効率化やコスト削減は、短期的には事業に寄与します。しかし、それ自体が企業の持続的な成長や他社との差別化に直結することはありません。また、いかに高性能な生成AIモデルを選択したとしても、生成AIモデル自体は誰もがアクセス可能であり、単独での差別化は困難です。
企業成長につながる生成AI活用とは、業務効率化と並行して自社独自のデータを活用し、事業を積極的に伸長させる経営環境を構築することに他なりません。他社との差別化を図り、生成AIのポテンシャルを最大限に引き出すためには、これまで蓄積されてきた「自社固有のデータ」を、生成AIが活用できるデータ資産として整備・プラットフォーム化し、事業戦略に活用することが不可欠です。
2026年は、自社データを生成AI活用に適した形にプラットフォーム化できるサービスに投資し、「自社データ × 生成AI × 運用(ガバナンスと検証)」の三位一体を企業戦略の核心に据えることが、日本企業の勝ち筋といえるでしょう。
