益田先生が提唱する「AIメンタルケア」とは 現代人に必須のアプローチ
岡本:「プルプル」することが大切だとありましたが、益田先生がAIに注目されている理由はなんでしょう。
益田:色々ありますが、精神科医療は人が足りず、お金も足りない。そして人材の教育も難しい。そうした状況下、AIは人類の誰よりも賢い存在であり、それをうまく取り入れていくしかない。いかにAIの良い部分を引き出して悪い部分を減らしていくか、そのための議論のベースとなるのが『精神科医が教える AIメンタルケア入門』です。
岡本:ちなみに益田先生は、いつ頃からAIに着目されたのでしょうか。
益田:2020年頃でしょうか。当時は文章の言葉じりを変えるような性能でしたが、「こういう質問がきたらこれを返す」というチャットボットを組んだ上で、AIが自然な文章に整えてくれたら「AIカウンセラー」が完成するといった状況でした。気がつけばAIが賢くなり、2025年に入ってからは患者さんも使うようになっていますね。
岡本:患者さんがAIを使うようになっているのですね。
益田:「GPT-4.5」がリリースされ、ChatGPTが音声入力に対応してから爆発的に増えています。
岡本:多くの方がAIを使うようになり、「AI依存」のようなニュースなども散見されるようになりましたね。
益田:まだまだ新しいものなので、多くの方が慣れていない。AIのことを人間や新しい生き物のように感じてる人達が多く、私もビックリしています。ある日、突然AIを手にした人にとっては「魔法の箱」のように感じられ、だからこそ「依存したらどうしよう」「AIの間違った意見を信じちゃったらどうしよう」と不安になっているのかなと思います。
岡本:2025年の新語・流行語大賞に「チャッピー」がノミネートされたり、ChatGPTのバージョンアップによって「4oロス」のように騒がれたりと、急速に浸透しているように感じます。とはいえ、若い世代での利用が顕著だとも思います。
益田:たしかに、若い人が使ってるとは思います。とはいえ、私の母親も利用しており、AIの浸透は速いですね。
岡本:たとえば、来院されている方の使い方は変わってきていますか。
益田:最初の頃は恋人のように思うとか、AIに褒めてもらうとすごく喜んでいました。ただ、今はAIが浸透してきたことで、「AIは誰にでもいい顔をする」ということを理解していますね(笑)。ただ、「ゲーム依存」や「スマホ依存」のような形で、一定数の人間はAIに依存してしまうとも思います。
岡本:AIが浸透したことでメンタルケアのあり方は、どのように変わっているのでしょうか。
益田:プルラリティとつながりますが、人と喋る前にAIに尋ねるようになっていきますよね。受診前にAIを使い、診察後にもAIを使う。会社でも同じですよね。上司にプレゼンする前にAIに相談してから上司にプレゼンする、上司も部下に説明する前にAIに相談する。人との会話、AIとの会話が区別されなくなっていくと思います。
岡本:少しずつですが、AIと対話する時間が増えていくようなイメージですね。
益田:だからこそ、AIと会話することが習慣化している人と、そうでない人で差が開くと思います。会社では、課題意識を常にもってAIと会話している人が出世しやすくなるし、こなせる業務量も増えていく。一方で、そうでない人の成長速度は遅くなってしまいますよね。
