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【動画】精神科医・益田裕介氏が語る、人類がこれから「プルプル」しなければならないワケとは

『精神科医が教える AIメンタルケア入門』著者が教える、AIとの付き合い方

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ゴールを理解し、「AI」を適切に利用していくことが肝要に

岡本:プルプルすることの重要性がわかってきたところで、益田先生が執筆された『精神科医が教える AIメンタルケア入門』はどのような書籍なのでしょうか。

益田:「心とはどういうものか」「精神科の治癒はどういうものか」からスタートし、具体的にどのようにAIを使っていくのかをまとめたものです。そして、本書では「そもそも治癒とは何か」という話をしています。

 この治癒とは「不安がなくなること」ではなく、「感情やトラウマに支配されてない状態」を目指すことを指しています。たとえば、うつ病が良くなったからといって、不安がなかったり困りごとがなかったりする状態にはなりません。悩んでるけどご飯は食べられる、悩んでるけど眠れるとか、そうした状態を目指すことが治癒だと最初に定義しています。

岡本:ゴールを正しく理解するということですね。

益田:結局のところ、人間の脳は問題を解決するためにあります。つまり、「問いを解く」ということです。監修いただいた田中秀宣先生の言葉を借りるなら「物理の問題にする」ということ。漠然とした心の問題をいかに可視化し、具体的な問いにするのか。そして、問いに対してどこまで答えられて、どこから答えられないかを明確にしていく。そうしたところを目指していますが、難しいですよね(笑)。

岡本:難しいですね。

益田:たとえば、うつ病がなぜ起こるのか。そこに関連する問題は1個や2個ではなく、100とか1,000ぐらいあるわけです。これを根気よく解決していきましょう、ということですね。

岡本:問題は細分化していき、明確化していく。これが「AIメンタルケア」における、AIが担う役割ということでしょうか。

益田:そうですね。最初のうちは愚痴をこぼすだけでもいいですが、ただそれだけでは行き詰まってしまう。だからこそ、AIとの対話の中でどのような問いを投げかけ、問題を要素分解していく。AIはこうした作業が得意です。

漠とした問題をAIで要素分解していくことが肝要だ
漠とした問題をAIで要素分解していくことが肝要だ

岡本:問題を要素分解していく、その重要性に気づかないままAIに相談をつづけることで悪影響もあるのでしょうか。

益田:それを理解せずに心の問題を解決しないまま、AIに慰めてもらうだけになると依存していきますよね。AIは、ユーザーの期待に添うように回答をつづける装置でもあるのです。

 皆さんの手元には、賢い精神科医やカウンセラーがいる。だからこそ、うまく使ってもらいたいですね。

岡本:では、具体的にAIをどのように使っていけばよいのでしょうか。

益田:まずは、夜になったら寝ること。そして日中の時間に少しずつAIに相談してみるとよいですね。私は帰り道に「今日は疲れました。夜ご飯をどうしたらいいかわかりません。冷蔵庫の中にはこの食材がありました」みたいなことをワーッと喋っています。また、「今日やるべきことをまとめてください」と指示することで、AIがリスト化してくれる。これって自分の脳でも処理できますが、AIを挟むことで負担がちょっと減るんですよね。そして、とにかく少しでもいいから使ってみて、自分の知らないことをなくしていく。これが結果的にいいと思いますね。

岡本:知らないことをAIに相談する。これが第一歩ということですね。

益田:また、個人的におすすめしているのは、「ロールプレイ」です。「落ち込んでる人にどのように声かけたらいいか」「不登校の娘になんて声かけたらいいか」とか聞かれることが多いのですが、これには正解がありません。だからこそ、AIを相手にして練習してみる。AIに「今から不登校の娘役をしてください。この子は何歳で今外に出れない感じです」などと指示をすると、意外とリアリティがあって入り込んでしまいます。そして、今の会話のいい点、悪い点を教えてくださいと聞くと、ちゃんと指摘までしてくれますね。

岡本:まずは、ロールプレイも含めて少しずつ知識を得ていくことで、解決を図っていくのですね。

益田:そうですね。困ってるという方でも、うつ病などについて勉強しない人は少なくありません。たとえば、自律神経が乱れてると思っていても、そもそも自律神経が何かを知らない。だからこそ、AIと対話することでわからないことを減らしていくことが大切です。

岡本:では、最後に読者の方にメッセージをいただけますか。

益田:患者さんはもちろん、『精神科医が教える AIメンタルケア入門』を会社の上司の方などにも読んでいただきたいですね。業務効率化に向けてAIは役立ちますが、たとえば退職者への対応で悩んでいる方にも活かすことができるはずです。人間関係のすれ違いを減らすなど、AIメンタルケアをうまく活用していただきたいですね。

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。2025...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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