AXの進め方。ソフトバンク流「お祭り」文化の力
押久保:多くの企業でAI推進担当者が試行錯誤していますが、ソフトバンク内でのAI活用はどう進められているのでしょうか。
平岡:ソフトバンク流は、とにかく「お祭り」にすることです。孫から「10億AIエージェントを作る」と号令が下り、文化祭のようなモメンタム(勢い)を作ります。最初は質の議論をせず、プライベート用でも何でもいいから「面白い」と思わせる。重い腰を上げさせるには、この「おもろい雰囲気」作りが大切です。
押久保:カルチャーとして定着させるために、平岡さん自身が心がけていることは?
平岡:トップのコミットメントに尽きます。僕自身もAIツールを使い、日報で「CursorとCopilotをどう使い分けている?」と問いかけたり、AIを活用したメンバーを褒めたりします。トップが興味を持っていない組織で、現場だけがマインドシフトするのは不可能です。
押久保:トップ自らがAIを触り、発信することが鍵ですね。
平岡:「部下に任せておけ」という姿勢では、文化レベルの変容は起きません。社長自らが「今日Geminiとこんな会話をしたんだけど」と社員総会で話せるレベルの熱量が必要です。そうして初めて、現場は「AIを使うのは当たり前だ」と感じるようになります。
オセロを一枚ずつひっくり返す。逃げずに泥臭く継続する意志
押久保:平岡さんが描く未来の社会像はどのようなものですか?
平岡:ハピネスの総和を上げたい、それだけです。将来的には、エネルギーや一次産業をAIが担い、健康的な食べ物が無料で届くようなセーフティーネットが技術的に可能になるはず。AIを動かす「電気」さえ自動化されれば、社会に必要な営みは劇的に安価になる。そういう世界が来ることを望んでいます。
押久保:壮大ですが、一歩一歩の積み重ねが重要ですね。最後に、壁に当たっているAI推進担当者へアドバイスをお願いします。
平岡:一発で解決する魔法のソリューションはありません。とにかく「しつこく、泥臭く継続すること」です。オセロを1枚ずつひっくり返すように、勢力図を理解し、重要なポイントを一つひとつ変えていく。そのためには推進者自身が「余白」を持ち、心が折れないように負荷をコントロールすることも大事です。
押久保:逃げずに継続する。平岡さん自身の余白の作り方は?
平岡:最近は余白があまりないのですが(笑)、散歩やサウナですね。あとは夜遅くまで働いた後の牛丼屋です。情報が多すぎる時は一度遮断して、自分の中で揉む時間を作ると、新しい視界が開けます。
押久保:理路整然とお話しされる中で、泥臭さを厭わない熱い意志を感じました。本日はありがとうございました。
