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業界キーパーソンに訊く、AI最前線

AIで金融の殻を破る──三井住友フィナンシャルグループ 磯和氏が語った最後に残る競争力とは

社内の反発を乗り越え、新技術でビジネスを変革する術

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「社内文化が完全に変わった」 自前主義から脱却できた理由

石野:AI時代においても、外部パートナーと組む領域と、自分たちで行う領域の判断は非常に難しいと思います。磯和さんはこれまで数々の外部パートナーとの提携を主導されてきましたが、その判断基準をどう考えていますか。

磯和:たとえば、キャッシュレスの黎明期に「○○コイン」が乱立して足踏みしてしまったのは、日本の大きな失敗だった。インフラやプラットフォームはできるだけ共通化して、その上の使い道やアプリケーションで戦うべきです。

 銀行の勘定系システムも各社が個別に開発していますが、共通化すれば自由に行き来できます。ところが、日本企業はどうしても「バーティカル(垂直方向)」に、深いところまで全部自前で作ろうとしすぎる。本来なら、同業で似たような仕組みは統合してしまって、その上のアプリケーションで競ったほうがいい。

石野:「自前主義」からの脱却には、社内の反発も大きいのではないでしょうか。

磯和:私がデジタル領域に携わってからの11年間は、まさにその戦いでした。当初は何か新しいことをやろうとすると、必ず「既存事業とカニバリゼーションが起きる」という話が出てくる。それでプロジェクトが止まるという雰囲気がありました。

 そんな状況が変わったのは、やはりOliveの成功が大きかったです。Oliveは、裏側に外部サービスを導入して銀行口座を連携させています。自前でグループ会社とリアルにつなげようとすると5~10年かかるところを、外部の力をかりて1ヵ月で実現しました。グループ内に閉じて売れないものを作るより、便利なものをつなぎ合わせて全体のパイを大きくしたほうが、結果的に自分たちにもプラスになる。こうした実感を、周りが持ち始めたんです。この5~6年で社内文化が完全に変わったと感じています。

石野:お話を聞いていると、デジタル変革に合わせて組織文化も大きく変化してきた印象を持ちます。磯和さんはなぜそこまで果敢な変革を続けられるのでしょうか。

磯和:私が入行した当時、世界の時価総額トップ30のうち21社が日本企業でした。住友銀行は世界3位。世界に通用する会社だと思って入ったのですが、気がつけば時価総額30位以内に入っている日本企業はゼロです。「自分はなんのために働いてきたのか」という強い違和感をずっと抱いていました。大前提として、もっと世界で戦える金融機関にしたいという想いがあるんです。

 加えて、私は入行3年目から15年間、総務部にいました。そこで株主総会や社内の規律維持を担っていましたが、当時の状況は凄まじかった。合併しても不良債権が止まらず、年間に3回も株主総会をやり、減資まで行いました。毎日が墜落していく飛行機のアクセルを踏み続けるような感覚でした。「自分たちでルールを作って、前へ進む」という経験を15年続けたんです。そのため今のような変化の激しい時代でも、ひるまずに「ようやくここまで来た。まだまだいかないと」と思えるわけです。金融と実ビジネスが融合していく時代。金融という殻に閉じこもる時代は、もう完全に終わっていると思います。

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新たなビジネスチャンス 「AI」「トークン」「量子コンピュータ」が金融取引を変える

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この記事の著者

ナインアウト株式会社 代表取締役 石野真吾(イシノ シンゴ)

ナインアウト株式会社 代表取締役 2013年、Sansan株式会社に入社し、営業・マーケティング領域の仕組みづくりに携わる。その後、Marketo/Adobeにてソリューション開発やSalesTech領域の新製品の国内展開を牽引。2019年よりSmartDrive株式会社にてCEO補佐兼CMO...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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