開発者は「何を作るか」に全集中。開発部分だけでなく評価面も対応
柴山:今、川上さんから具体的なツールの話も上がりましたが、NVIDIAさんがGPUというハードウェアだけでなく、OSS(オープンソース・ソフトウェア)も提供する狙いはどこにあるのでしょうか?
井﨑:我々は自社を、ハードウェアベンダーではなくプラットフォームベンダーと定義しています。優れたGPUだけでなく、ソフトウェアも併せて提供することで、開発者の方に作りたいものに集中していただきながら、NVIDIAを利用する方を増やしたいと考えています。そのため、LLM構築のためのNVIDIA NeMoや、推論を最適化して提供するNVIDIA NIMといったツールチェーンをマイクロサービスとして提供しています。

多くのソフトウェア開発においてネックになるのは、ライブラリのアップデートやメンテナンスです。たとえばPythonのライブラリがアップデートされたら、構築済みのソフトウェア全部を検証し直さないといけません。それに非常に工数がかかるので、ならばNVIDIAですべて対応しましょう、対応済みの環境を用意しましょうという考えです。
柴山:だから、開発者は「何を作るか」という本質に集中できるわけですね。
井﨑:そう考えています。我々のソフトウェアを使って、作りたいものの青写真を描くには、NVIDIA AI Blueprintsが有効です。文字通り、この青写真の通りに作っていただければ実現できるよう構築しています。
エージェンティックAI構築で困るのは、パフォーマンスの評価ですが、評価を行える機能もあります。そこまでカバーして開発を支援するツールチェーンを提供しているのが、当社の大きな特徴だと思います。
NVIDIAも認める先進事例。博報堂DYグループのスクラッチ開発
川上:対応済みの環境を用意しましょう、とおっしゃった部分は、本当に開発現場としてありがたみを実感しています。大幅な工数の削減につながっています。
製品担当の方とも、定期的にお話ししてフィードバックいただき、プロジェクトの推進力になっています。米国本社の方々とも度々セッションさせていただき、意見を丁寧に吸い上げてくださっている実感があります。
井﨑:我々としても、いろいろな開発者の方々の意見を聞きながら、次の製品に生かしてさらなる提案にもつなげたい考えがあります。そうした部分がうまくかみ合って、共同でプロジェクトを進めさせていただけているのだと思っています。
柴山:なぜここまでNVIDIAという会社がAIの世界を席巻しているのか、今のお答えに凝縮されているように感じますね。では、逆に井﨑さんから、博報堂DYグループの取り組みをどうご覧になっているかうかがってもいいでしょうか?
井﨑:欧米の広告会社さんとももちろんお付き合いしていますが、意外と自社で開発しているケースは多くありません。実際、当社の製品担当が御社に強い興味を持っているのは、自社開発されている点が大きな理由なんです。
取り組みの内容も高度で、技術力も高いですし、しっかりした結果も伴っている。まだ世界でもここまでの実装例は多くないので、広告業界から自律化の事例が出てくることを非常に期待しています。
単発の実行ではなく、複数のエージェントがトークし合いながら全体のワークフローが最適化・自律化することが、A2Aのいちばんの醍醐味です。そういったシステムが生まれるのが楽しみですね。

