「コスト削減はAI活用のゴールではない」──AIで経営は30倍速くなる
安成(Biz/Zine編集部):経営層向け専門メディアBiz/Zineの編集長を務める安成と申します。本日はメディアをまたいで、AIdiverからお届けします。テーマは「AIによるコスト削減の罠──薄利多売から抜け出す経営戦略」。経営アドバイザーでMoonshot代表の菅原健一さん、通称すがけんさんにうかがいます。まず、菅原さんはAI活用のゴールをどこに置いていますか。最近は業務効率化やコスト削減の文脈で語られることが多いですが。
スタートアップでの事業売却(EXIT)を経て経営アドバイザーに転じ、年間10社ほどの経営に伴走するソロプレナー。著書に『厚利少売』(匠書房)、『小さく分けて考える』(SBクリエイティブ)ほか、累計発行部数8万部超。
Moonshot 代表取締役 菅原健一氏(以下、菅原):ありがとうございます。一番大きいのは、定例会議をしている会社は、もうなくなるということです。今でも多くの会社が定例会議をやっている。でも、なぜ会議が遅いかというと、人間が資料を作るのに3日かかるからじゃないですか。金曜の定例にかけようと思ったら月曜には作りはじめて、火・水・木で仕上げて、偉い人に上申して……対象の週じゃなく、月末にやっと承認が下りる。みんなそのペースで働いていると思うんです。
安成:確かに、そうですね。
菅原:でもAIを触るとわかるんですけど、一度資料を作って一言二言コメントをもらえば、15分後には直っているんですよ。リサーチを足しても終わるし、「もっとこうして」も終わる。だから本当は15分後に聞けるんですよね。10倍速くなるのは当たり前で、30倍速くなると言っても嘘じゃないくらい速い。経営の意思決定がそれだけ速くなることがAIのすごさなのに、「コストが浮きます」ばかりみんな言っている。それだとAIの本当のところが伝わらないんじゃないかと感じます。
寝ている間にレポートが完成する。「お前、いつやったんだ」と驚かれる理由
安成:菅原さんが経営者の方に一番驚いてもらえるのは、どんな場面ですか。
菅原:たとえば、有名な会社の経営者の先輩と夜ご飯に行く。「議事録代わりに音声を録らせてもらっていいですか」とお願いして、録りながら相談を受ける。「すがけん、こんな相談があってさ」と。その場では「こうこうじゃないですか、調べて送りますね」と言って帰る。普通なら、ご飯のお礼はできても資料はその日には送れない。自分も食事をしていて、いつ作業するんだという話ですから。でも僕の場合は、その音声をClaudeに投げて「続きやっといて」と言うと、翌朝にはもう終わっている。「先輩、こういうことだと思うんですけど、どうですか」と送ると、「お前、いつやったんだ」となるわけです。

安成:寝ている間に、ですね。
菅原:そう、寝ずに自分のために調べてくれた詳細なレポートに見えるから、「どうしたの」と。「いやいや先輩、AIってこういうことなんですよ」と。これをみんなができたら会社はすごく変わると思いませんか、と言うと、ものすごく実感を持ってもらえる。経営者向けに開いている「経営者のためのClaude講座」も、受講者はもう100人を超えました。
驚いたのは、これまで「誰々さんにやってもらおう」と人に頼む発想だったのが、人にメールを送るのもClaudeにプロンプトを打つのも、コストは同じだと気づくこと。しかもClaudeは既読スルーせず、すぐやってくれる。「10分後に返ってくる、これ、どっちに頼みたいですか」という話になってきているんです。
