世界で感じたAIトレンドの変化 米国企業の現在地は……
石野:福田さんは米国へ足を運ばれる機会も多いと思いますが、この1年で米国のAI導入の実態にはどのような変化があったのでしょうか。
福田:ベンチマークとしてまず挙げられるのが、毎年3月と10月に開催される米国投資銀行主催のカンファレンスです。数百社のCEOやCFOが各業界や自社ビジネスの現状について語るセッションが山ほど組まれています。
この3年ほど、同カンファレンスのテーマがAIであることに変わりはありませんが、2年前までは必ず冒頭でアナリストが「自社の生成AI戦略の進捗は?」と問いかけていました。ところが、今年は「生成AI」という単語は主役ではなく、代わりに「AIエージェント」がキーワードとなっていました。これは単に生成AIを利用するという段階から、業務への組み込みが進んでいることを意味します。
2年前は米国でも、生成AIを活用していかに社員の生産性を上げるかが話題の中心でしたが、今年は自律的に動くAIエージェントが話題の中心となっています。そして、AIエージェントをいかにビジネスに落とし込んでいくかにスポットライトが当たっているのです。
皆さんもご存知のとおり、コンタクトセンターや一部の営業ワークフロー、法務などにもかなりAIエージェントの導入が進んできています。業務完結型のAIエージェントも増えている印象です。
石野:実際、米国企業内でAIエージェントの活用はどこまで進んでいるのでしょうか。
福田:2年前まではPoCどまりで、要約や翻訳をはじめ個人的な使い方がメインでした。しかし、現在はかなり業務工程を分解してAIエージェントを活用している例が出てきています。AIエージェントをうまく稼働させるためには、1体で複数のビジネスプロセスをカバーするのではなく、プロセス毎に設定する必要があります。今のところは、各ビジネス領域でプロセスに特化したAIエージェントの作り込みが進んでいる状況です。
石野:AIエージェントが人間の仕事を奪っていくイメージをもつ人も多いですが、人間とのすみ分けをどう考えるべきでしょうか。
福田:米国でドラスティックな人員のリプレイスが起こっているのは事実です。とはいえ、単純に人間をAIで置き換えているという話でもないのです。業務プロセスを細かく分解した上で、どこにAIを使い、どこに人間が介在すべきかが、かなり緻密に作り込まれています。組織図の中にAIをどう組み込むかが議論になっているのです。
