SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

「AX Day(エーエックス・デイ)」は、翔泳社の「AIdiver(エーアイダイバー)」が開催するオンラインイベントです。表面的なAI活用の事例ではなく、事業成長にまで結びつく“AIトランスフォーメーション”の在り方を徹底深掘りします。

直近開催のイベントはこちら!「AX Day 2026 August」

AI×コンタクトセンター最前線 AIが塗り替える、顧客対応の常識

AIと会話が成り立っている──三井住友カードがコンタクトセンターへ実装を決めたワケ 技術の現在地は…

オペレーションサービス本部 ⼤保友実氏インタビュー

  • Facebook
  • X
  • note

 長きにわたって人手不足に悩まされてきた問い合わせ窓口やコールセンター。AIによる恩恵を特に受ける領域ともいわれている。一方で、これまで人が行ってきたようなコミュニケーションをAIができるのか。ハルシネーションをどこまで許容すべきなのか。実装にあたって、各社が答えを模索している段階だろう。そんな中、三井住友カードは音声で顧客とやり取りをする「AIオペレーター」の導入に踏み切った。その決め手とは──。

  • Facebook
  • X
  • note

AIによる電話応対の割合50%超へ 「できる」と確信した理由

──三井住友カードのコンタクトセンターに寄せられる問い合わせは、月間50万件にものぼるそうですね。本格的なAI実装のきっかけは、やはりこの大量の問い合わせにどう対応するかという課題感だったのでしょうか。

三井住友カード 大保友実氏(以下、大保):そのとおりです。月間50万件という数字は、他社のコンタクトセンターと比較してもかなり多いと思います。1番の課題は、安定した応対体制の構築と維持。当たり前のように思えるかもしれませんが、実際には非常に難しいです。

 たとえば大規模な電車の遅延や運休が発生すれば、オペレーターが出勤できなくなる場合もあります。そうすると、朝いただいた問い合わせに対応する人員を十分に確保できない可能性も。しかし、お客様にとっては関係ありません。この課題を解決する一つの答えがAIだと思っています。

──AI実装に関して、具体的な目標はありますか。

大保:AIが電話応対をする「AIオペレーター」を一部業務に導入したのが、昨年の12月です。それから3年を目安に適用範囲を徐々に拡大し、さらにAIによる電話応対の割合を50%超にまで持っていく目標を立てています。

 お客様によっては、電話をかけている時点ですでにマイナス体験だと感じる人もいます。その気持ちや悩みを確実に解消するために、安定した応対体制が必要であることはこの先も変わらないでしょう。一方で、解消してくれる相手は必ずしも人間である必要はないと思います。人手不足が深刻化する中、お客様のニーズを満たせるのであれば、AIを積極的に活用するのも1つの手段ではないでしょうか。

──実際のところ、AIオペレーターはどのレベルの応対が可能なのでしょうか。何を基準に「使える」と判断したのか教えてください。

大保:現在、AIだけで最初から最後まで応対を完結させた実例も生まれています。また、AIが応対したお客様からのクレームも今のところありません。24時間365日、お客様の「今解決したい」という気持ちに応えられる体制に近づいているのではないでしょうか。

 正直なところ、いつかはお客様とAIが直接話す世界が実現すると確信があったものの、技術的な課題や世間のAIに対する見方を加味すると、感覚的にあと数年はかかるだろうと予想していました。しかし、1年半ほど前にAIオペレーターが話しているところを見る機会があり、会話が成り立っているという事実に本当に驚いたんです。技術がここまできているのであれば、やってしまおうと。

三井住友カード株式会社 オペレーションサービス本部 AIイノベーションデザイン部 トライブリード ⼤保友実氏
三井住友カード株式会社 オペレーションサービス本部 AIイノベーションデザイン部 トライブリード ⼤保友実氏

大保:AIが話すことはできても、ちぐはぐな回答をしてしまうのだろうと思っていたんです。会話にはレスポンスの速さなどさまざまな要素がありますが、実際にPoCとして試してみると、直感的に「成り立っている」と感じました。「これはいける!」と思い、デモを録音して社内のありとあらゆるところで流しました。プロジェクトとして進められるように、とにかく各所を説得して回りましたね。

 本格実装にあたっては、当社の業務知識を持ったメンバーと支援会社の方を交えて打ち合わせを重ねました。さまざまなパターンの顧客体験が考えられるため、毎日のように密に意見を出し合いました。AIと聞くと魔法のようにキラキラしたイメージをもつ人もいますが、実際には地道な作業の連続です。こういう場合にはこう返すといったパターンを4ヵ月話し合い、AIオペレーターに反映させ、機械と人それぞれで採点をしてリリースまで進めました。

 機械によるテストは、繰り返し問い合わせてもコミュニケーションの流れが止まらないかを確認するもの。一方で人によるテストでは、実際に有人オペレーターの教育などに携わっているメンバーに録音データを渡してフィードバックをもらっていました。それを繰り返す中で、ベテランオペレーターのレベルまでは難しいものの、新人オペレーターのレベルは超えていると判断し、本格運用を決めました。

次のページ
予想される現場からの反発……実態はどうだったか

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • note
AIdiver(エーアイダイバー)
https://aidiver.jp/article/detail/489 2026/06/22 08:00

広告を読み込めませんでした

広告を読み込み中...

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング