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Mythosの登場でセキュリティ対策がさらに急務に
博報堂DYホールディングス CAIO 森正弥氏(以下、森):ここまで社内のAXについてお聞きしてきましたが、AIといえばセキュリティの話題も欠かせません。「Claude Mythos」が世間に衝撃を与え、日本企業の経営層の関心がセキュリティに集中しているように感じています。辻さんの目には、どう映っていますか。
SUBARU CIO 辻裕里氏(以下、辻):昨今、他社で大きなセキュリティトラブルも発生していますし、AXを考えるにあたって非常に重要なトピックスだと認識しています。
当社ではこの十数年間、重大なセキュリティトラブルやビジネス上の事故は発生していません。しかし、対応しなければならないタイミングがくるかもしれないと、警戒しています。
当社では、IT戦略本部の中にサイバーセキュリティ部門が存在しています。また、サイバー空間だけでなく、自動車の製品認証を取得するために必要なセキュリティ対応を担う部隊もあります。昨年の11月には、新たにCISO(Chief Information Security Officer)のポジションを設置し、役員ではなくIT戦略本部の副本部長に就任してもらいました。本部長の私がCIOを務め、副本部長がCISOを務めています。
こうした場合、攻めと守りがぶつかり合うケースも耳にしますが、当社ではうまく連携できていると思います。別の組織を作るよりは、IT戦略本部の中にセキュリティの責任者が所属していたほうが、スピードが担保できると思うのです。
森:アクセルとブレーキが同じ組織に存在するから、スピードを緩めず臨機応変に対応ができる、ということですね。
辻:そのとおりです。当初は「別の組織にすべき」「セキュリティ組織として独立したほうがよい」といった意見も多くいただきました。しかし、デジタルやAI領域を担う部門とセキュリティ部門を別の組織にして、うまく噛み合うイメージが私は持てませんでした。絶対に切り離せない存在ではないでしょうか。
森:そうですね。昨今、セキュリティ環境は大きく変わりました。特に、AIを使った攻撃も激しくなってきています。AIが進化すればするほど、新たなセキュリティホールが見つかりますが、それらすべてを確認して対応できるかというと、手が回らないのが現実でしょう。
辻:すべてにセキュリティパッチがあるわけではないため、当社も正解を模索しています。Mythos級のAIでサプライチェーンを攻撃されるような厳しい状況も、想定しておかなければなりません。
森:正直なところ、現時点で明確にアプローチの答えを持っている企業はいないと思います。セキュリティの専門家ですら「こんな状況は初めてだ」というぐらいです。ただ、攻撃手段は膨大にあり、多くの脆弱性が発見されていることは事実ですが、攻撃側の目的は概ね「データを盗む」「システムを人質にとる」と、いくつかに絞られます。こうした逆説的な発想が、ヒントになるかもしれませんね。
