急にAIが使えなくなるリスクも どこまで組織に組み込むべきか……
辻:今までとにかく走り続けてきましたが、最近になってAXの軸がガバナンスであると身に染みて感じるようになりました。社内のAI推進体制を作り上げようと試行錯誤したり、安全性を担保するためにガイドラインを作成したりしてきたものの、そもそもAIの提供自体が止められてしまう可能性があるのだと……。
先日、「Claude Fable 5」「Mythos 5」の提供が、米政府の方針によって一時的に全面停止されました。すでに提供は再開されていますが、同じようなことがまた起こるという前提に立つと、当社のビジネスにどれだけAIを組み込むべきかを改めて考えなければなりません。
今年度は、基幹業務のプロセスをAIで改善はしても、AIを完全に組み込むことはやめておこうと思っています。もちろん、来年度は状況がまた変わっている可能性もありますが、今のところは、仮にAIが動かなくなっても人間が対応できる領域にだけ、AIを組み込む形がよいという判断です。
森:なるほど。国際的な動向にも、アンテナを張って対応をしていく必要がありますね。
今までも「ソブリンAI」の話が注目を集めていましたが、国産AIを開発する、活用するといった文脈で議論されることが多かったです。しかし、自社で活用するすべてのAIを国産AIにする策も、フロンティアモデルの進化を見ていると踏み切れないところがあります。
そうした中、ソブリンAIではなく「AIソブリニティ」という新たな概念が生まれ始めているそうです。自分たちがコントロールできる状態に、AIを置いておく考え方です。たとえば、フロンティアモデルを活用する領域と、オープンモデルをベースにオンプレミスで構築する、あるいは国産AIを活用する領域、まったくAIを活用しない領域を分けるといった例が挙げられます。
辻:ちょうど昨日、まったく同じことを考えていました。たとえば、安全運転支援に関連する領域は元々自社でAI開発を進めてきたため、そのまま独自で育てていくなど、領域によってどのAIを活用していくか整理を始めています。
森:すでに対処されていることがすごいですね。対応できている企業は、なかなか多くはないでしょう。
