2026年後半の課題「改めてデータ整備を」 不要なものを捨てる勇気も必要
辻:加えて、社内のアセットをAIが読めるように整備していく作業も、ガバナンスのもう一つの要素だと捉えています。
今、データが社内のあらゆるところに散らばっているため、使うデータは1ヵ所に集約しなければなりません。たとえば、開発や製造でも後工程の担当者は最新の設計書を持っているものの、前工程の担当者は古い設計書を見ているといったことが起こり得ます。誰がどこまでの情報を持っているのかを整理して、データを一元化しておかなければ、AIが部門横断的に動くことができません。
森:たしかに、自動車業界は設計が詳細かつ部品点数が多いため、データ量が非常に多い印象があります。自動車を生産するための工程や部品、さらにはオプション仕様が組み合わさると、パターン数も膨大です。それらのデータをどのように一元管理し、AIが効率的に動ける環境を構築するかは大切な視点ですよね。
辻:そうですね。数年前にも、サイロ化されて各部門内に閉じているデータを民主化する活動をしました。自動車には、車両ごとに固有の識別番号(以下、VIN)が付与されており、これによって各個体を追える仕組みとなっています。このVINを軸として、何かトラブルが発生した際に、対象の車両にどのような部品が付いているのかなどを分かるようにしたのです。そうすると、品質問題が発生した場合にも、調べる範囲を狭められます。
このように目的が明確であれば、必要なデータだけ集めれば成り立ちますが、たとえば会計に関わる情報なども含めてすべて集めようとすると、また煩雑になってしまう。何が必要で何が必要でないのか、取捨選択は重要ですね。改めてデータの民主化をやり直したいと思っています。不要なものを捨てる勇気も必要です。
森:そこをどうAI化していくか。これが、各社にとって2026年後半の課題になるのではないかと思っています。

