金融サービスを構築するStripeは2026年9月8日(米国時間)、MetaのAIエージェント「Muse(ミューズ)」に、AIエージェントに対応したデジタルウォレット「Link」の提供を開始したと発表した。米国の消費者はLinkアカウントをMuseに接続することで、AIエージェントによる代理決済が可能になる。
近年、AIエージェントは高度なタスクをこなせるようになってきたが、自律的に決済完了までを実行することは難易度の高い課題だった。従来のeコマースが、ウェブサイトの閲覧や価格比較、クレジットカード情報の入力といった人間による操作を前提に設計されているためである。AIエージェントが経済活動を行う新たな「経済主体」として機能するには、人間と同様にインターネットを使いこなし、企業や消費者が現在利用している決済手段で購買活動を行う必要がある。
そこで活用されるのが、世界で3億人以上のユーザーが利用するLinkである。Stripeが4月に発表したLinkのエージェント向けウォレット機能により、AIエージェントが消費者に代わって決済を自律的に完結させることが可能になった。今回のMetaとの連携で、この機能がMuse上でも利用できるようになる。
Linkは世界で100万社以上のオンラインストアに対応しており、Museを利用する消費者は、Linkアカウントに保存された決済手段を使って追加の入力なしで即座にチェックアウトを行える。Link未対応の加盟店に対しても、ユーザーが事前に承認した購入金額に限定した使い捨ての「ワンタイム仮想カード」を発行することで決済できる。
いずれの場合も、最終的な取引金額の承認はユーザー自身がチャットのインターフェース上で行う。Museはクレジットカード情報などの基礎となる決済データに直接アクセスできないよう設計されており、ユーザーは管理権限を維持したまま購買プロセスをAIへ委譲できる。
StripeのLink事業責任者であるジェイ・シャー氏は「StripeはAIエージェントが安全に購入・決済まで完了できる『AI時代の金融インフラ』を構築している。MetaのMuseにLinkが搭載されたことで、より多くの消費者がエージェンティックコマースという新しい購買体験の利便性を実感できるはずだ」と述べた。
今回の連携は、AIエージェントが商品の検索から比較、購入までを自律的に行う「エージェンティックコマース」への取り組みの一環。Stripeはすでに、AIエージェントが人間を介さず決済を行うためのオープンスタンダードな技術プロトコル「Machine Payments Protocol(MPP)」をTempoと共同開発している。
- 関連リンク
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
AIdiver編集部(エーアイダイバーヘンシュウブ)
「AIdiver」(エーアイダイバー)は、株式会社翔泳社が運営する、企業およびビジネスパーソンのAIの利活用にフォーカスしたメディアです。経営、ビジネス、日々の業務をAIで変革したい「AIリーダー」の皆さまに役立つコンテンツを発信します。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
