営業も“完全AIネイティブ”に 新体制のメリット
──2026年4月に「KDDIアイレット」として発足しましたが、背景を教えてください。
代表取締役社長 髙木秀悟氏(以下、髙木):元々は持株会社であるKDDI Digital Divergence Holdings傘下に旧アイレットを含む6社が属していましたが、グループ会社同士の連携が弱い点が課題でした。そのため、事業会社かつグループ最大の組織規模である旧アイレットを軸としてグループを再編したのです。KDDIから営業、コンサルタント、PMなど80人強のメンバーが加わりました。
KDDI自体は人数規模の大きな企業であるため、AIを活用したセールスイネーブルメントが難しい側面もあります。それが、KDDIアイレットでは、ゼロから営業部隊を作ることができる。完全な「AIネイティブセールス部隊」にしようと決めました。
たとえば、お客様の悩みを聞き、その場で簡単なデモを自ら作って見せることが可能です。自分専用のAIボットで提案をブラッシュアップすることも実践しています。営業もエンジニアもAIネイティブに育てることができるのです。
gaipack本部 西田駿史氏(以下、西田):AIによって、いまや誰でも開発やデモ、提案書作成ができるようになりつつあります。営業一人でも提案まで完結できる環境を整えながら、エンジニアも提案段階から参加する流れを作ろうとしています。
──「SIer」のような動きに加えて、組織体制を大きく組み替えたわけですね。
髙木:「SIer」といわれるようになったことも、大きな変化の1つかもしれません。旧アイレットはクラウド化支援、いわゆる「CIer」のイメージが強かった。しかし、実際にはクラウドにとどまらず、AIエージェントの実装や開発そのものにもかなり注力しています。一方で、SIerの大手と競争するつもりもないです。かといって、AI駆動開発でモダナイゼーションを進める企業とも異なる。独自の「AIインテグレーター」でありたいと考えています。
──実際のところ、支援先の日本企業はAX(AIトランスフォーメーション)にどこまで踏み込めているのですか。
西田:ほとんどのお客様がAIには触れていて、すでに行き渡ってはいます。しかし、活用レベルの差が大きいのが実態です。一部の個人利用にとどまっている、またはシャドーAIが深刻化しているケースもあれば、組織的にAI駆動開発が浸透しているケースもあります。
髙木:たとえばMicrosoft Copilotを全社導入したとしても、それは「導入」であって「実装」ではありません。ふたを開けて見ると、実際には2〜3割の人しか活用していないことも多いです。残りの7割は一度触ってみた程度で、AIをウェブの検索窓と同じように扱っています。本当の「実装」は、AIを使っていることを意識しないまま業務が効率化され、ROIに反映されている状態。当社では「gaipack」などを通じて、その支援を強化しています。
KDDIといえば通信会社であり、法人のお客様の多くは情報システム本部やDX推進部、総務部が窓口です。商品もコモディティ化しているため、他大手通信会社2社との価格比較で見られます。それに対して、旧アイレットのお客様は事業部門。彼らが実現したいことを最新技術で開発して届けています。そこにKDDIのエッセンスが加わると、たとえば「auのファーストパーティデータでこんなマーケティングができる」などと、ビジネスを伸ばす+αの提案ができるわけです。
