AIによる自動解決率が4割弱→約8割に なぜか?
──まずは令和トラベルの事業について教えてください。
令和トラベル 受田宏基氏(以下、受田):当社の主力事業は、旅行アプリ「NEWT(ニュート)」です。海外旅行のツアーを企画から販売まで、一気通貫で手がけています。ツアー販売は好調で、売上は順調に伸びています。旅をデザインする専任のコンシェルジュも在籍しており、その利用件数も前年比(4~7月)で3割近く増加しました。
そして、もう一つの柱がビジネス創造部です。ツアーに次ぐ新たな事業を育てる部門で、今年4月にはAIソリューション事業部を立ち上げました。人手不足が深刻なホスピタリティ業界向けに、AIを活用した支援ツールやサービスを展開しています。
──社内でもAI活用が進んでいるのですか。
受田:他社と比較しても、積極的に活用されているほうではないでしょうか。ビジネス側のメンバーも、ほぼ全員がClaudeもしくはClaude Codeを活用しています。個人業務からチーム単位の業務まで、AIエージェントを組み込みながら自動化を進めている状況です。
それにともなって、AIが動きやすい環境の整備を急いでいます。これまで、各ツールが分断され、AIを前提としないオペレーションが業務のあちこちに残っていました。まずは、そうした既存の仕組みを作り変えていかなければなりません。
当社は約100名の社員数に対して、開発メンバーが半分を占めています。現在、彼らが中心となって、ナレッジベースとなる統合データ基盤を構築しているところです。その上で様々なAIエージェントが動ける仕組みを作ろうとしています。もちろん、ビジネス側のメンバーでもAIエージェントを安全に使いこなせるようなハーネスも求められます。
こうした体制へと刷新することで、お客様への付加価値をさらに生み出せるでしょう。たとえば、ツアーの企画やカスタマーサポートの領域でも、より速く、質の高いアウトプットをAIエージェントが提示できるようになるはずです。
──カスタマーサポートを含めたコンタクトセンター領域では、AIに何を期待しますか。
受田:当社のカスタマーサポートでは、1日平均5名体制で問い合わせ対応を行っています。アプリの会員数が急増している中、決してリソースに余裕があるわけではありません。
問い合わせの多くは、キャンセル方法や航空券の座席指定など定型的なものです。集まってくる問い合わせデータをすべて分析したところ、約7割はFAQで解決できる汎用的な内容でした。
一方で業界特有なのが、繁忙の波。台風や大きな遅延が起きると、問い合わせが殺到します。人だけでは対応しきれず、お客様をお待たせしてしまうことも考えられます。そのため、AIで対応できるものはAIが、人の力が必要なものは人が引き受ける役割分担が非常に重要だと思っています。
──現状、どこまでAI化が進んでいるのでしょうか。
受田:AIチャットによる問い合わせの自動解決率は、導入当初こそ4割弱でしたが、現在8割近くにまで上がっています。肝になるのはFAQをいかに漏れなく整備するかです。AIが回答できなかった問い合わせのうち、複雑なものは人が対応し、FAQの追加で解決できるものは新たに登録するなどチューニングを重ねています。また、既にFAQがあってもAIが文脈をうまく読み取れないケースも少なくありません。それらも一件ずつ地道に調整を重ねることで、自動解決率を大きく引き上げられました。
世間的に、AIより人に対応してほしいとの声も聞かれますが、当社のアンケート結果ではAI導入後も満足度に大きな変化はありません。むしろ、AIによるクイックなレスポンスを好む方もいます。若年層の会員が多いこともあり、あまり抵抗なくご利用いただいている印象です。特に汎用的な問い合わせであれば、AIが人を上回る可能性が十分にあると見ています。
