もはや人との会話と変わらない……音声AIの急速な進化
──各社のAIモデルの進化が凄まじいですが、この動きをどう見ていますか。
受田:できることが確実に増えています。たとえばOpenAIの「GPT‑Live」は、非常に流暢な音声対応が可能となっています。人との会話と大きく変わらない水準です。反応速度も自然で、機械音声特有のぎこちなさもかなり解消されてきました。
当社はこうした音声認識やSpeech-to-Speech(STS)モデルなどを活用しながら、AI対応の仕組みそのものを内製する方針です。電話対応では「NEWT Voice」、チャットでは「NEWT Chat」と、独自のAIエージェントを開発しています。
当社の代表電話はNEWT Voiceへ切り替えており、PoCの最中です。おおむね順調ですが、聞き取りの精度やお客様が会話の途中で言葉を挟むと応答が止まってしまう点など、改善すべき課題も残っています。一つずつ原因を確認し、細かいチューニングをつづけています。
一方のチャット対応はまだ外部サービスとの併用ですが、統合データ基盤が整えば、社内ナレッジに基づいて「どう答えるべきか」「どのようなコミュニケーションを取るべきか」を学習させられます。将来的には、完全な内製へと切り替えていきたいです。AIが統合データ基盤とつながれば、複雑なトラブル対応にも適用できるでしょう。
──どこまでAIに任せ、どこから人が担うのか。どう線引きをしていますか。
受田:現時点でいえば、コンシェルジュの動きは人が対応したほうが良いと考えています。NEWTでの旅行計画など、カスタマーサポートの範囲を超える相談は、コンシェルジュが引き継ぐ体制となっています。
簡単な旅程の作成や航空会社の選定は、ChatGPTやGeminiを使えばお客様自身でもできます。ただ、AIが提案する内容はオンライン上の汎用的な情報にすぎません。情報収集はオンラインでも、本来の旅行はアナログなもの。人ならではの“臨場感”も必要なのです。
たとえば「あの航空会社のラウンジはこんな雰囲気。座席の幅はこのくらいだから、子どもと二人でもゆったりと過ごせる」といった情報の確からしさや実感は、AIでは提供することがまだ難しい。特に初めて行く場所かつ海外であれば、提示された旅程が本当に良いものかどうか、お客様からすると判断がつきません。そこに「この旅程ならご要望を満たせます」とお墨付きを与えられるのが、プロのコンシェルジュの価値です。
とはいえ、AIの進化によっては、コンシェルジュ業務への適用も可能になる未来は見えてきています。
