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AIは不動産テックをどう変えたか──GA technologies 研究開発部門責任者が語る「現場で使えるAI活用」とは?

GA technologies 稲本 浩久氏インタビュー

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 不動産テック企業GA technologiesで、社内開発組織「Advanced Innovation Strategy Center(AISC)」を率いる稲本浩久氏は、リコーで20年近く画像処理・認識技術の研究開発に従事した後、2017年に同社へ参画。不動産広告の自動読み取りシステムや査定AIの開発など、現場課題を解決するプロジェクトを多数主導してきた。生成AIの登場により開発効率は向上したが、「AIの精度が90%でも100%でも、本質的な課題は変わっていない」と稲本氏は指摘する。AIを現場で「本当に使える」ものにするために必要なこととは何かを、語ってもらった。

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画像認識研究から不動産テックへ──キャリアの転機

──GA technologiesに入社されるまでの経歴と、そこで直面した課題について教えてください。

稲本:新卒でリコーに入社し、研究開発部門でコピー機の画質を向上させる画像処理アルゴリズムの開発を担当していました。ただ、当時から技術的な飽和が問題視されており、新しい領域を開拓する必要がありました。そこで20年ほど前から画像認識、今で言うコンピュータビジョンやAIの分野に着手し始めたんです。

 ただ、そこで直面したのがいわゆる「PoC止まり」の壁でした。いろいろな用途でPoCを繰り返すのですが、なかなか事業化には至らない。「Proof of Concept(コンセプトの証明)」と言いながら、実際は最初の仮説がほぼ外れている。そこからいかに軌道修正して正解に近づけるかが重要なのに、「やってみたけどスケールしなかったね」で終わってしまうケースが非常に多かったんです。この現象はリコーに限らず様々な会社で発生しており、「PoC死(ぽっくし)」などと呼ばれ、技術者たちを悩ませています。

──その後、不動産業界との接点が生まれたのですね。

稲本:はい。新規事業の部署に異動し、リコーの360度カメラ「THETA」のビジネス応用を検討する仕事を担当しました。建設や中古車販売などさまざまな業界を回った結果、行き着いたのがVRで部屋を紹介する不動産向けSaaSでした。私が参画した当初は小さなビジネスでしたが、着実に規模を拡大し今では一定の存在感を示すまでの規模に成長しています。そのご縁もあり、GA technologiesが研究開発人材を探しているタイミングで入社することになりました。

不動産広告の自動読み取りと査定AI──業務効率化への挑戦

──入社後、最初に取り組まれた「仕入れ業務」の改善について教えてください。

稲本:弊社では、さまざまな不動産会社から物件情報を受け取り、査定して買い付けの可否を判断するのですが、当時から月に6,000〜7,000件もの情報が届いていました。しかもその多くが「マイソク」※と呼ばれる不動産チラシで、14万社以上あると言われる不動産会社が思い思いのフォーマットで作成するため、不定形なんです。

 今ならLLM(大規模言語モデル)を使えば比較的簡単にできますが、当時はそういった技術が普及していませんでした。私がその不定形なチラシから情報を読み取るAIのプロトタイプを作って社長に持っていったところ、「早急にシステムに組み込んでくれ」と。2017年のことです。

──査定AIの開発と、その成果についても聞かせてください。

稲本:読み取りシステムができた後、査定業務の改善にも着手しました。これは「回帰(Regression)」と呼ばれる、データから予測する手法を使います。たとえば面積と価格の関係をデータから学習し、新しい物件の価格を予測する。これを多次元に拡張したものです。当時は「勾配ブースティング」という、今でも回帰の分野ではメジャーな手法を採用しました。

 その結果、1年ほどで、1物件あたりにかかる作業を約15時間短縮できました。また、それまでは担当者によって査定結果にばらつきが出る「属人性」の問題もありましたが、システム化によってそれも解消できました。

※毎日速報センターの略:不動産物件の概要・間取り図・契約情報などをまとめた資料の通称

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LLM時代の変化──「認識系AIは本質的に変わっていない」

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この記事の著者

京部康男(AIdiver編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineとAIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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