500億〜1,000億円規模のAI投資 その判断基準は……
石野:すでに500億〜1,000億円規模のAI投資を打ち出していますが、どのような時間軸で判断をされたのですか。
上ノ山:発表している数字は、およそ3年を目安に想定したものです。投資領域はまだ明確に定めていませんが、一気に進める必要があると考えています。世の中の動きは速く、外資系の投資銀行もすごい勢いで変化している。彼らと直接日本市場で戦うわけではないものの、彼らの後を追う流れは世界中で必ず起きます。しっかりと投資をしていかなければ、ビジネスとして生き残れないという危機感はある。
1,000億円で十分かどうか、正直なところわかりません。しかし、現在重点的に取り組んでいるAIエージェント開発や基盤構築であれば、この金額でおそらく十分です。ただし、AIの適用範囲が勘定系システムやコアバンキングシステムにまで広がっていくと、何倍もの投資が必要になると思っています。
石野:極めて不確実性が高い中で、やるかやらないか、何に投資するか。その判断を、経営会議ではどのように行っているのでしょうか。
上ノ山:「このくらいの金額を使います」ということを先に社長と合意して進めています。これだけ激しい変化の中、全員の了解を一つひとつ得ている暇はありませんから。
石野:上ノ山さんご自身の判断軸はあるのですか。
上ノ山:長期的にお金を固定することになるため、現在は特定のAIサービス関連企業への出資はあまり考えていません。そのほか、基盤やハードウェアといった必要なものにはこれまでどおり投資しますが、それ以外は実質的にパートナー企業と一緒にものづくりをしていく「広義の人件費」だと捉えています。
約2年でAIチームの人員は19倍に。「さらに増やす」の意図とは
石野:社内の人材についてはどうでしょうか。規模はこの1〜2年でどう変化していますか。
上ノ山:私がCDOになった2024年のAIチームはわずか10人でした。それが今は約190人。今年度はさらに400人まで増やそうとしています。パートナー企業側も約200人に増やしていく予定です。チームメンバー400人への増員のうち、6割ほどが社内の異動、4割が外部採用を計画しています。
石野:外部採用は、特にどのような人材を対象としているのでしょうか。
上ノ山:いずれExcelやWordを使うようにコードを書ける世界へと変わっていくとは思いますが、しばらくはエンジニアを最優先で採用していきます。
それと同時に、プロセスをデザインできる人材も重要です。プロセスを抽象化してリパッケージし、リデザインできる力が社内だけでは足りない。AIに対してある程度の理解があり、現場の言葉を理解し、それを抽象化した上でリデザインできる人。簡単にいえば、コンサルティングの素養がある人材ですが、意外と見つけるのが難しいんです。今のところは、ビッグテック、金融、コンサルティングファーム出身者の採用が多いですね。
