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業界キーパーソンに訊く、AI最前線

みずほFGに問う、AI時代の金融と経営の総力戦 CDTO上ノ山信宏氏「変わらないことが最大のリスク」

AI投資と組織の戦略図

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「べらぼうに難しい」AI時代の人材戦略 最適解を模索

石野:AIプロジェクトを進める中で、AIが自分の仕事がなくなるレベルまで到達すると導入スピードが鈍化すると聞きます。そうした抵抗をどう乗り越えているのですか。

上ノ山:ボトムアップだけで進めると、必ずそうなります。だから、ボトムアップとトップダウンを循環させる必要がある。トップダウンのアプローチをするには、経営層がコミットし、自分の目で現場の業務プロセスを見る習慣をつけなければなりません。言葉でいうほど簡単ではありませんが、我々は今まさに進めているところです。

 まずは社長と合意すること。これは最低条件です。トップと合意形成ができないのであれば、AI推進の役割を担うのは難しい。その上で「このチームはできている、このチームはできていない」とフェアに判断していく。できているチームは評価され、できていないチームは経営層から理由を問われるわけです。

石野:世界に目を向けると、AI導入の最大のメリットは人員削減だと見られています。人の配置転換や人材戦略について実際にはどうお考えですか。

上ノ山:これはべらぼうに難しい。動態的に考えていかなければならないため、まだはっきりとしてはいません。一ついえるのは、1980年代後半から90年代前半の大量採用世代があと5年程度で定年退職を迎えます。少子化の影響があろうとなかろうと、人は大幅に減っていく。採用の入り口さえ過剰にしなければ、自然減で人員規模をコントロールできると思います。

 一方で、5年後にAIが会社のコア業務にまで入り込んだとき、どのような人材が必要になるのか。この議論はまだ収束していません。たとえば、世界的企業でインベストメント・バンキングを担当しているシニア層が、AIを使って3倍の成果を出せるとします。しかし、新卒がいきなり同じことをできるわけではない。新人を一人前に育てるための育成ポジションはやはり必要です。そこで今、将来の業務構造を仮置きした上で、5年後の自然退職でどのようなスキルセットが失われるのか、現在の人材とのギャップはどこにあるのかを把握しようとしています。

石野:とはいえ、AIによってロジカルな能力の差は埋められるようになってきています。全体の採用方針に変化はありますか。

上ノ山:まだ大きな変化はありません。ただし、AIが代替できない「共感する力」や「戦略を考える」部分は人間が手放してはいけない領域です。そのため、戦略的に物事を考えられる人、事業経営ができそうな人材のニーズは従来よりも高いのではないでしょうか。

石野:以前から「変わった人が組織には一定数いたほうがいい」ともおっしゃっていましたが。

上ノ山:資質や性格、キャラクターによるダイバーシティをどう確保するかも、これからの人材戦略では非常に重要となります。新卒採用のマーケットを見ると、優秀な方は多い一方で、教育やキャリア形成のプロセスがある程度似通ってきている印象もあります。昔は唯一無二の経験をしてきた「一筋縄ではいかない」と思える人材に出会うこともありましたが、最近はあまり見かけない。大事なのは 、新卒かキャリア採用かということではなく、多種多様なタレントをいかに確保するかということです。

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この記事の著者

ナインアウト株式会社 代表取締役 石野真吾(イシノ シンゴ)

ナインアウト株式会社 代表取締役 2013年、Sansan株式会社に入社し、営業・マーケティング領域の仕組みづくりに携わる。その後、Marketo/Adobeにてソリューション開発やSalesTech領域の新製品の国内展開を牽引。2019年よりSmartDrive株式会社にてCEO補佐兼CMO...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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