意外にも、日本が「自律型ソフトウェアエンジニア」の普及率でトップに
ところが、AIがこの状況を打開する有効策として突如台頭した。その第一波は「コパイロット(Copilot)」の出現であった。エンジニアがコンピューターでコードを書いている間、インターフェース上にリアルタイムで補完候補が表示されるようになり、開発スピードが劇的に向上した。
続く第二波は、「エージェント型IDE(統合開発環境)」の登場だ。単なるAIチャットやタブ補完だけでなく、ローカルエージェントを指揮・制御するデベロッパー向けの完全なインターフェースである。Cognition AIも、2025年にエージェント型IDEの「Windsurf」を買収している。
そして現在訪れているのが第三波、「クラウドAIソフトウェアエンジニア」の登場だ。Copilot(副操縦士)ではなくCo-worker(同僚)のような存在だとカプラン氏は述べる。Devinはこの波を体現するものである。AIに仕事を丸ごと任せ、ソフトウェア開発のサイクルをすべて自律的に完結するというものだ。
この進化により、ソフトウェアの欠乏が一気に解決され、今度は指数関数的にソフトウェアが世の中に増えていき、溢れるようになるとされている。この変化を、カプラン氏は「ソフトウェアの豊穣」の時代がやってきたと語る。実際、2026年に入ってわずか4ヵ月足らずで、日本のCognition AIの顧客(ユーザー)は既に2025年の全体を上回る数のプルリクエストをマージしているというデータがあるようだ。基調講演の後に行ったインタビューでは、同氏は「今後、ソフトウェアは専門的な産物ではなく、『水』同然の存在になる」との予測を示した。
なぜ、Cognition AIが日本市場を選んだのか。それは、同社の本拠地である米国を除くと、日本が世界で最もDevinの利用率が高い国だからだ。最新テクノロジーの導入ではなにかと遅れがちだった日本が、この分野では世界トップの普及率を誇っているのである。
日本法人のトップには、IBMやMicrosoft、Workday、Datadogといった名だたる企業の日本法人で要職を歴任してきた正井拓己氏が就任した。正井氏は、レガシーシステムのモダナイゼーションが停滞している問題に対し、Devinが有効な解決策になるとの見方を示した。DevinのAIがひとたび古いシステムの中に存在するレガシーコードを理解すれば、あとは自動でモダナイズを進められてしまうからだ。前任者やかつてのシステム構築者が遺した技術負債、レガシーコードといった呪縛から解放されるのである。
最近話題のClaude Codeとの違い
Claude Codeも同じく開発を助けるエージェンティック環境だが、Devinと設計思想において異なる(取材時点)。Claude Codeの場合は、ユーザーがターミナル上でAIと対話しながらソフトウェアを作り上げていくエージェント型CLI(コマンドラインインタフェース)ツールだ。対してDevinは、タスクを丸投げしてバックグラウンドで作業を完遂する“完全自律型”となっている。
