出荷コード量8倍のClaude Code──プロダクト層の開発現場
Claude Codeのプロダクトを担当するCat Wu氏は、この1年の変化を自身の体験から語り起こした。「1年前の私はClaude Codeにタスクを与えると、編集の一つひとつをレビューし、細部までいちいち付き添っていた。いまでは多くの人がオートモードで権限を委任し、レビュー可能な変更パッケージ(PR)に仕上がってからチェックインしている」
Managed Agentsが業務プロセス全体を担うのに対し、Claude Codeは開発者がコードを書かせるためのプロダクトだ。インターフェイスも、コマンド画面(CLI)から開発用エディタ(IDE)拡張、そして複数のClaude Codeを並列で走らせる使い方──同社内では「マルチClaude」と呼ぶ──に対応した2つの新しい画面へと広がった。デスクトップアプリ版はローカルとクラウドの全セッションを一望でき、CLI内の新しいエージェントビューはターミナルを離れずに各エージェントの状態を確認できる。Anthropic社内では、エンジニア1人当たりの出荷コード量が以前の平均8倍になっているという。
ユーザーの声に応えて作った機能群も紹介された。変更内容の重大バグをエージェントのチームが捕捉するコードレビュー、iOS/Android対応、外部イベントをきっかけに自動起動する「ルーチン」、夜間にコードをスキャンして脆弱性を検出する「Claude Security」。大規模な改修や移行向けには、数十から数百のエージェントを決めた手順で並列実行する「Dynamic Workflows」も用意されている。Managed Agentsのスケジュール実行が業務プロセス全体向けであるのに対し、ルーチンは開発者の定常作業向けだ。デモでは、英語のみのマーケティングサイトを12言語へ同時に翻訳し、完了後に検証用エージェントが成果を確かめる様子が示された。1言語ずつ順番に処理すれば1時間近くかかる作業が、1つのプロンプトで完了するという。
スケール導入の事例として、Spotify、メルカリ、楽天が挙がった。Spotifyは数千のソースコード保管場所(リポジトリ)の移行にバックグラウンドで動くエージェントを使い、月間1,000件超の変更を本番環境に反映して移行時間を90%削減した。メルカリはエンジニアリングチーム全体がClaude Codeを使い、エンジニアリングのアウトプットが前年比90%増になったと計測している。楽天は、AIにどれだけ深く考えさせるかを指定する「エフォートレベル」の最上位設定で大規模な自律処理が可能になるとFable 5を評価したうえで、Claude Codeによる開発加速を社内エージェント構築へ広げ、メジャーリリースの頻度を2週間ごとに高めた。
企業IT部門への示唆──エージェント基盤は「自作」から「マネージド」へ
基調講演の締めくくりにLesse氏は再び登壇し、プラットフォーム上のAPI利用量が前年比17倍になった事実を示した。「このギャップこそが皆さんの大きなチャンスであり、そのためにClaude Platformを用意した」と強調した。
講演全体を通じて問われていたのは、自社のエージェント基盤をこれから一から組むのか、マネージド型のサービスに寄せるのかという選択だ。ハーネス、コンテキスト、インフラを自前で組み上げてきた先行企業の作業は、Managed Agentsとしてプラットフォーム機能に取り込まれつつある。もうひとつの問いは、モデルが更新されるたびに作り直すのか、評価とテストの仕組みで変化を吸収するのかだ。Penn氏が唱えた「次のバージョンのClaudeに向けて作る」設計が、その分岐点になるとみられる。Fable 5、Managed Agents、Dynamic Workflowsを含むClaude Codeの新機能は、いずれもすでに利用可能となっている。
