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AIX Leaders Interview

「弁護士のジレンマ」から生成AIで起業したLegal Agent朝戸氏 ──「士業スキル×AI」に勝ち筋を探る

Legal Agent代表 朝戸統覚氏インタビュー/EnterpriseZine転載

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ベテランほどAIビジネスに有利な理由

朝戸 統覚氏(あさと のりあき)Legal Agent 代表取締役 代表弁護士
4大法律事務所の1つである「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」で大規模M&A案件や国際取引に携わった後、「AZX」にてスタートアップ専門の法務を経験。法律事務所の非効率性に課題を感じ、生成AIの可能性に着目。2023年10月にLegal Agentを創業し、弁護士業務に特化した自社開発AIツールを活用した新しい法務サービスを展開している。

──生成AIによって、ベテラン弁護士の仕事もなくなってしまうのでしょうか?

朝戸:いえ、その逆です。生成AI時代においても、ベテラン弁護士の方が圧倒的に勝ち目があると考えています。AIは、優秀な「部下」のような存在です。地頭は非常に良いけれど、経験がない。だからこそ、彼らに対して的確に指示を出し、ノウハウを教えられるベテランの存在が絶対に必要です。

 AIはインターネット上の公開情報しか学んでいませんが、弁護士の仕事には、過去の経験や蓄積されたノウハウ、事務所内にあるデータなど、AIが学習していない非常に重要な情報がたくさんあります。AIの能力を最大限に引き出すためには、そうした情報を適切に与え、指示を出す必要があります。

 この「士業のベテランスキル+AIが勝ち筋」なのです。AIを使いこなせるトップの弁護士は生き残りますが、AIに指示を出すことができず、自分で案件を回せない弁護士は、将来的にいらなくなってしまうでしょう。

──それは弁護士業界に限った話ではないのでしょうか?

朝戸:士業全体に共通する話だと思います。コンサルタントや税理士、公認会計士、社労士といった士業も同様です。AIに指示を出すトップの人間がいて、その指示でAIが動くという形が主流になっていくでしょう。それは企業全体にも言えることです。社長と、人間しかできない雑務を行う人だけがいれば、あとはAIで良いという世界になるかもしれません。

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技術的変遷から生まれた「リーガル版Cursor」

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この記事の著者

京部康男(AIdiver編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineとAIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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