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リクルートがAIで仕掛ける。「ゼクシィ」などを生んだ40年以上続く新規事業提案制度「Ring」の変革

プログラム参加者の思考を拡張する独自開発のAIとは

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 「ゼクシィ」「HOT PEPPER」「スタディサプリ」など、数々のヒットプロダクトを世に送り出してきたリクルートの新規事業提案制度「Ring」。1982年から形を変えて40年以上続くこの制度が、AIの登場によって新たな進化を遂げている。「AIの活用でアイデアの質は確実に上がった」と明かすのは、Ringの責任者である宗藤和徳氏だ。使う人間を選ぶともいえるAIだが、既存制度にどう組み込んでいるのか。

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経営層の「GO」が出た提案数は3倍以上に 独自開発AIツールの効果

 Ringの原点は人間の内発的な動機にある。その一方で、時代の変化に合わせて新たなテクノロジーを取り入れた制度変革も行われてきた。この数年、特にAIの導入には積極的だ。社員を主人公の桃太郎に見立て、その強力な仲間としてプランニングを支援する「AIかべうちサル(旧『AIかべうち君』)」、調合調査を行う「AIしらベるイヌ」、提出前レビューをする「AIみなおしキジ」といったツールを次々に打ち出してきた。 

 ところが「1年前に導入したAIツールは、その役割を終えつつある」と宗藤氏。当時は未経験者の入口として役立ったが、すぐに社員のAIリテラシーが上がった。宗藤氏らが用意したAIツールがなくとも、自ら仮説を立てた上でGeminiなどと自然に壁打ちをしているのが現状だ。

 AIとの対話を通じて創造性が磨かれるともいわれるが、まだ懐疑的な視線も少なくない。しかし、宗藤氏によればAIの導入効果は提案の質に顕著に表れているという。たとえば、論理的に不整合な提案の割合は14%から6%に減少。事業計画書に予想されるブレークスルーポイントと解決策まで具体的に記載されている割合は、3%弱から17%へと大幅に上がった。結果的に、経営層がGOサインを出した提案数は1年前と比較して3倍以上に増えている。

株式会社リクルート 経営戦略 新規事業開発室 事業創出部 部長 宗藤和徳氏
株式会社リクルート 経営戦略 新規事業開発室 事業創出部 部長 宗藤和徳氏

 こうした状況を受けて、リクルートのRingでは2026年度から新たに「BACKCAST AI」を開発・導入した。これは、2030年から逆算した未来シナリオと他社が考え得る新規事業案、リクルートとして考えるべき問いをAIが提示することで、新規事業案の発想を促すAIツールだ。「提示される内容はかなりヒリヒリするように設定した」と宗藤氏は話す。たとえば「この法律が変わるとこんな競合の出現が考えられる」といった具合だ。

 一方で、「BACKCAST AI」は解決策までは提示しない。あくまでも社会・政治・テクノロジーの変化予測、それを踏まえた兆しや他社の動きの予測を提示するまでだ。「意思を持つのは起案者本人である」という同社の考えに基づく。

 アイデア出しを支援するAIだけでなく、Ringのプログラム自体も大きく変わった。AIによるカスタマー行動変容を起点とした「カスタマーAI部門」、社内の投稿型AIハッカソンの「Hack」の2つが新設されたのだ。カスタマーAI部門は、これまで行われてきた年に1回の「自由テーマ部門」とは異なり通年募集、月次審査。なおかつ、今までのRingでは社内審査が主だったが、カスタマーAI部門は社外の一般生活者のフィードバックを受け、その反応を起点に事業化を判断する。

「検索するという行動が『AIに相談する』に変わってきています。さらに、今や企業のさまざまな業務や日常生活の行動がAIに置き換えられ始め、恋人との別れ話を代行するAIエージェントまで登場しているのです。近い将来、AtoA(Agent to Agent)が当たり前になる。我々は、その変化に対応するアイデアを求めています」

 そんな未来志向と並行して宗藤氏が目をつけているのが、40年以上続くRingの歴史の中で生まれた過去のアイデアたちだという。それはなぜか──。

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AIはゼロイチに不向き? 今こそ「過去のアイデア」なワケ

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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AIdiver(エーアイダイバー)
https://aidiver.jp/article/detail/506 2026/05/27 08:00

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