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リクルートがAIで仕掛ける。「ゼクシィ」などを生んだ40年以上続く新規事業提案制度「Ring」の変革

プログラム参加者の思考を拡張する独自開発のAIとは

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AIでアイデアが量産できる中、生む苦しみは必要なのか?

 AIが個人の生産性を劇的に引き上げ、「スピード」「量」「質」を底上げする一方で、そう簡単には補いきれないものもある。「やはり弊害はある」と宗藤氏。「AIが万能かといわれると難しい。特に人間の主観的な熱量は重要だ」と語る。

 AIを使えば、どんなアイデアでも整っているように見せることは可能だ。Ringの運営側が提案用のシートを工夫しても、AIでいくらでもハックできてしまう。必ずしも思考を深めなくても、形だけのプランが立てられるのだ。これに対して宗藤氏は「意思」の必要性を主張する。

「結局は主観的な意思がなければ新規事業開発は進みません。AIのアウトプットの上で思考を巡らせる必要があります。リクルートの新規事業開発が人の内発的な動機を重視する方向性は変わらないでしょう。BACKCAST AIも、この思想を重視して開発したものです」

 加えて、人間同士のコミュニケーションの場も設けられている。今年の新規事業開発支援のコンセプトは「人とAIの両輪で支援する」だ。

「AIは使う人を映す鏡。思考が浅い人とAIを使っても浅いアイデアしか出せません。これはやはり課題です。そのため、過去に新規事業プロジェクトに携わった人などにアイデアを相談しながら思考を深める『Ring Meet』という制度も継続していきます」

今年のRingのコンセプトは「『AI』がある。でも『I』がいる。手元には、思考を加速させるAI。足元には、社会とつながる膨大なアセット。機会も『正解』もあふれる時代だからこそ、あえて自分に問う。私は、どうしたい?アルゴリズムでは描き切れない自分自身のエゴで大きな輪を、描きなおそう。」だ。
今年のRingのコンセプトは「『AI』がある。でも『I』がいる。手元には、思考を加速させるAI。足元には、社会とつながる膨大なアセット。機会も『正解』もあふれる時代だからこそ、あえて自分に問う。私は、どうしたい?アルゴリズムでは描き切れない自分自身のエゴで大きな輪を、描きなおそう。」だ。

 リクルートは、人と人が話す中で生まれる偶発的な気づきを「AIでは代替できない価値」と位置づけている。ただし、必ずしもAI以前のアイデアを生む苦しみを再現すべきというわけではないという。宗藤氏は過去の経験からこう語る。

「前職時代に目にしたある海外のアパレル企業では、商品を売るタイミングから配送まですべてをAIで自動化しています。結果的に商品が手に入って顧客も喜んでいる。その流れ自体に意思は必要ではないでしょう。つまり、人間の仕事はより上流の部分のみになると私は予想しています」

 そうなると、職人が何年も修行を続けて成長するような、細かい成功体験の積み上げが不要になるかもしれない。しかし、この変化に抵抗感を抱く人は多いはずだ。

「産業革命のときと同じです。AIに、私たちの最適な行動や創造性が調整させられているのではないか。すべてのアイデアが一つに収束していくのではないかと、多くの人が怖がっています。しかし、人間の創造性や意志は結局のところなくならないものです。日本はむしろそれを活かして、産業革命後に新技術の用途開発や応用力で市場を開拓してきました。AI時代も同じではないでしょうか」

 この問いに対して、Ringがどこまでアイデアの質を上げ実現性を高められるのか。結果が出るのはこれからだ。

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/506 2026/05/27 08:00

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