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リクルートがAIで仕掛ける。「ゼクシィ」などを生んだ40年以上続く新規事業提案制度「Ring」の変革

プログラム参加者の思考を拡張する独自開発のAIとは

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AIはゼロイチに不向き? 今こそ「過去のアイデア」なワケ

 新規事業でネックになりがちなスピードと量の課題を、AIによって解決できる。これは容易に想像がつくだろう。しかし「質」をどう担保するかは別問題だ。審査する側にも、本質を見極める力が求められる。そこで、リクルートでは大量のアイデアへのフィードバックにもAIを取り入れているのだという。

 そもそも、新規事業が成功する確率は低いのが現実である。その事実も踏まえて「これまで量に反映されていたAIのメリットを質に転換させたい」と宗藤氏は語る。具体的な案が、審査コメント代行エージェントの開発だ。

 リクルート内には、過去の審査結果やさまざまな審査員の判断に関するデータが蓄積されている。有識者視点の集合知が大量に保管されている点は大きな強みといえよう。その中から、直近4〜5年分、提案数にして1万5000〜2万件分をAIで分析し、審査傾向の軸を抽出してフィードバックできる仕組みを取り入れているのだ。これにより、人間の審査員は「事業プラン選出の意思決定」により注力することができる。 

 こうした過去のデータにフォーカスした上で、宗藤氏は「AIはまったく新しいものを生み出すより、既存の産業構造の変革や置き換えに向いている」と強調する。その視点で見ると、活かせる「過去の資産」がもう一つある。審査データではなく、アイデアそのものだ。

 リクルートでは年間約1,000件弱の新規事業のアイデアが提出されるが、リソースやタイミングの問題で事業化に至らなかったものも多い。しかし、今はたった一人の社員でAIを活用して形にできるかもしれない。つまり、可能性があったにもかかわらず実現できなかった過去のアイデアを掘り起こし、そこにAIをかけ合わせれば再挑戦できる上に確度も高いというわけだ。

「過去を振り返ると、宝の山のようにビジネス機会がある。実はすでにいくつか実現可能性が見えてきています」

 新たなRingの制度やAIツールの提供はこの4月から始まったばかりだが、「やると決める案件は多ければ多いほどいい」と宗藤氏は期待の色を見せた。その背景には、新規事業を形にするフェーズも、AIで劇的に生産性が上がるという実感がある。

 今までなら事業化にあたってエンジニアも含めたプロジェクトチームを立ち上げ、マーケティング部門や営業部門とも連携し、法務対応も必要だった。しかし、AIでプロダクト開発のハードルも下がった今、これまでどおり多くのプロジェクトメンバーをアサインする必要がなくなる。

リリースまで一人で対応できる可能性すらあります。それならば、可能性があるプロダクトはとにかく作ればいい。生産性100倍、1,000倍も夢ではありません」

 そこで宗藤氏が注目しているのが「フルスタックビルダー」の概念だ。フルスタックビルダーとは、AIによって企画から開発、バックエンド対応、フロントエンド対応などを一貫して完遂する新たな役割を指す。「実際に、フルスタックビルダー型で事業化、収益化につなげられるプロジェクトがどのくらい生まれるか楽しみだ」と宗藤氏は語った。新規事業のプロセスを一気通貫で担う"事業家としての個人"が、AIによって現実的な選択肢になるという見立てだ。

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AIでアイデアが量産できる中、生む苦しみは必要なのか?

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/506 2026/05/27 08:00

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