サイロ化した業務環境……「アジャイル×AI」で突破口を探る
多くの企業において、コンタクトセンターや顧客対応を担う部門は、「多様化する顧客チャネルへの対応」と「業務効率化」という二律背反の課題に直面している。複雑化する事業環境下、損保ジャパンも同様の課題を抱えていた。
同社は、自動車保険や火災保険、傷害保険などを展開しており、国内損害保険では高いマーケットシェアを誇る。それ故に、保険金の支払いなどを担う部署の役割は大きい。現場担当者は、顧客や保険代理店など、多岐にわたるステークホルダーとコミュニケーションをとる必要がある。しかし、その手段は電話やメール、LINE、FAXとチャネルごとに独立したシステムが存在していた。この現場業務をサポートする、保険金サービス支援部の瓜阪氏は、「1つの案件であっても、複数のシステムでコミュニケーションをとっています。お客さまとLINEでやりとりをしつつ、保険代理店とはメールでコミュニケーションをとるため、別のシステムを同時に立ち上げているような状態でした」と述べる。
Webブラウザのタブが3段になるほどにシステムがサイロ化しており、異なるシステムから必要な情報だけを取得するという業務は、ベテランの担当者でなければ難しい「職人芸」と化していた。デジタル・データ戦略部の藤野智彦氏は、「システムごとに制約があるため、それに合わせて業務プロセスが構築されていました。本来、より効率的なプロセスを構築できるはずが、システムに合わせなければいけない状況でした」と振り返る。
この状況を打破するために導き出されたのは、「コミュニケーションハブ」と銘打った、統合コミュニケーション基盤の構築だ。システムごとに散在していた、顧客とのやり取りの内容を案件ごとに一元管理しながら、生成AIを活用した「要約機能」を組み込むことで、業務効率化を進めるための仕組みである。
そして、コミュニケーションハブの構築には、保険金サービス支援部と「SOMPO Digital Lab」のエンジニアなど、ビジネス部門と開発・運用チームが一体となった少人数チーム(各6名程度)によるアジャイル開発体制を採用。外部ベンダーに丸投げするのではなく、ビジネス部門とエンジニアが初期段階から密接に連携することで、現場課題に直結するソリューションを構築しようとする試みだ。
