成功要因は、ビジネス部門と開発チームの相互リスペクト
コミュニケーションハブが大きな成果をあげている裏側には、ビジネス部門と開発チームが相互にリスペクトし、歩み寄る組織文化があったからに他ならない。「私たちは、AIに詳しいわけでもなく、エンジニアと会話する中でも単語がわからないことが今でもあります。しかし、『わからないので教えてください』と素直にお願いすることで解決しています」と瓜阪氏。一方の藤野氏も「エンジニアは、開発の知識があっても業務知識が少ないです。そのため、エンジニアからも『教えてください』と会話し、お互いの専門性に歩み寄りながら理解を深めています」と語る。
部門の壁を越えて、リリースしたコミュニケーションハブは、現在も月に2回ほどのペースで改修され、継続的にエンハンスを実施。自動車保険に限定されている要約機能を火災保険など、他の商材にも展開していく方針だ。
また、AIの役割を要約ツールから「自律的なナビゲーター」へと進化させようとしている。茂野氏は、「お客さまからの問い合わせや相談に対して、最適な回答や提案をより迅速に提供していくため、返信案についてAIがサポートしてくれるような機能も実装していきたい」と話す。さらに、事故対応の進め方が担当者によって属人化しがちな点について、入力情報をAIが読み込むことで次の指示を与えたり、AIが管理者に代わってアドバイスしたりする仕組みも視野に入れている。
損保ジャパンでは、ビジネス部門と開発チームが一体となったアジャイルな取り組みを継続させることで、互いの専門性を融合させながら業務プロセスを再構築している。今回紹介したコミュニケーションハブも、担当者がより迅速に・より高い品質で顧客対応を行うための基盤として今後もさらに進化させていくという。この挑戦は、まだ始まったばかりのようだ。

