日本のAI戦略は「特徴がない」 社会課題軸では受け身にとどまる
森:米国にはフロンティアAIが複数存在している一方で、ヨーロッパは厳格な法規制が敷かれています。また、中国は大量にヒューマノイドを生産してグローバルに配るという破壊的戦略をとっています。その中で日本はバランス型である印象ですが、榊原さんはどう見ていますか。
榊原:裏を返すと、日本はAI戦略に関して特徴があまりないともいえます。ヨーロッパほど厳しい法規制は必要ないと思いますが、それでも彼らは彼らなりのスタンスを示しているわけです。一方で、中国のヒューマノイドは、かなり軍事的な要素も強いと感じています。だからこそ、さまざまな動きを試させているのでしょう。ヒューマノイドの動きを単におかしがっている人もいますが、私は一種の怖さも感じます。
では、日本は何に注力しているのでしょうか。どうしても出遅れているように感じる。日本の強みは製造業ですから、それを活かすAI戦略に注力したほうが良いでしょう。つまり、フィジカルAIがどう価値を作るか、ということです。
森:労働人口の減少が著しく、真正面から社会課題に向き合っている日本としては、それをAIで解いていくことで、他国に先駆けて示せるものがあるのではないでしょうか。
榊原:それもありますが、社会課題を軸にすると消極的にならざるを得ません。どうAIを活用していくかというテーマ設定が受け身になってしまうのです。
AIエージェントの進化によって、米国では人がやってきた仕事をAIに置き換え、従業員を減らし始めています。しかし、日本企業ではそのようなアプローチは難しい。単純なROIで見ると、AIへの投資に対するリターンが少ないです。そのため、別の指標を考える必要があります。自動化のメリットは何か。その明確な答えがないまま、人口が減るから何となく自動化とフィジカルAIで生産性を高くしようとしていますが、本当に生産性を測れているのかは疑問が残ります。
森:米国のようなダイナミックな雇用調整を行うことはできませんから、数字でメリットを出しづらい側面はあります。生産性の改善を測れないために、AIで社会課題が本当に解決できるのかも曖昧です。受け身ではなく、新しい未来はこうあるべきだと描いた上で、それに向かうためのKPIを設定して挑戦すべきだということですね。
