「正解」を求めさせているのは情報環境
──早く答えにたどり着きたい。その欲求は、書籍『考察する若者たち』にもつながる話ですね。
三宅:この本は、若い世代の間で「考察」が流行っているところから話が始まります。ここで言う考察とは、ドラマや漫画、アニメを見たときに「作者は実はこんな謎の答えを仕掛けているんだ」と、作り手の意図を当てるような感想のことです。
三宅:最近、「これが正解です」「これが隠された正解なんですよ」という言い回しがすごく流行っているんです。
──なぜ、そこまで正解が求められるのでしょうか。
三宅:今は、プラットフォームの中で情報を得る時代だからだと思います。昔は本や雑誌で「ノイズ」がある状態で情報を得ていたのに対して、今はYouTube、TikTok、SNS。プラットフォームには、クリックされやすいものがより表示されるというアルゴリズムがあります。
そうなると、サムネイルの時点で「この動画から何を得られるか」がわかっているものが、優先的におすすめされる。求めているものと差し出すものが一致していればいるほど、おすすめされやすい。つまり変わったのは若者側ではなく、情報環境側なんじゃないか。そういう話をしています。
──そこにAIが加わり、まさに「正解っぽいもの」が差し出されやすい世の中になっている気がします。ビジネスの場でも同じです。まず正解を教えてほしい、間違えたくない、という人が増えているのではないかなと。あまりにも便利な相棒であるAIがいる時代、自分で考える力はどう身につければいいのでしょうか。
三宅:「自分で考えなきゃいけない」シチュエーションに追いやられるかどうかが大事ですよね。読書で言えば、「人の感想にしっくりこないとき」でしょうか。
たとえば、推理小説を読んでとても面白かったけれど、他人の考察を読むと「なんか違うんだよな」と思う。そういうときに、自分なりの答えを見つけたくなる。私は自分の頭で考えたほうが面白く読めると思っているので、私の著書を通して、そう考えてみたくなってくれたら嬉しいなと思っています。
