管理職の腕の見せ所とは? AIが出せない答え
坂本:もはやAIなしでキャリアを築くことは難しい時代となっています。しかし、すべてのメンバーがAIに抵抗がないわけではありません。そこで私は、メンバーと一緒にサブエージェントを開発し、日常業務を任せる仕組みの構築にチャレンジしています。
それ以前に、私は非開発者ながらAIコーディングでサブエージェントを作れるようになった成功体験がありました。そこで得たノウハウを生かして、今度はメンバーと同じ目線に立って「こんなことができる」と伝えようと思ったのです。結果的に、メンバーがAIの効果を実感するきっかけを作れました。
石原:組織にどうAIを根付かせるかが議論されていますが、マネージャーがAIを理解しないまま言葉だけで「使おう」といっても、効果は期待できません。マネージャー自身が経験したことを伝えたほうが、説得力があります。まさにメンバーをエナジャイズした瞬間ですね。
秋葉:エナジャイズに関連して、考えたことがあります。昨今、働き方について出社か在宅かがよく議論されますが、私は会社で人が交わることで生まれる動きや喜び、そこから広がる可能性があると思うのです。マネージャーがリアルな場で起こったことを解釈して、チームに伝えていかなければなりません。それが、未来をつくることや意思決定につながっていく。AIは答えを教えてくれませんし、メンバーだけでは気づきにくい点です。人と人が会う場や仕事の設計が必要な理由を管理職が咀嚼し、実際につくっていく必要があります。ここが管理職としての腕の見せ所です。
部下が100人いても1on1 チームを強くするコミュニケーション術
坊垣:チームとは、一人ひとり違う人間の集合体です。子どもが何人いても、子どもにとって母親は一人ですよね。マネジメントも同じだと思うのです。同僚はたくさんいても、上司は一人。マネージャーがそれを理解していなければ、メンバーに「自分は見てもらえていない」と距離をとられてしまいます。そのため、私はサイバーエージェント時代、自組織のメンバーが100人くらいまでは必ず1on1をしていました。1人5分でも構いません。個と向き合えているから、チームとも向き合えるのだと考えています。
石原:チームを管理しているのではなく、その中にいる一人ひとりと信頼関係を築いている。その意識は非常に重要です。
坊垣:そうすると、本人が本当にやりたいことやメンバー同士の関係のほころびも見えてきます。数字に影響が表れるのは遅く、人が見ているほうが早く気づけます。「みんなの調子が悪い」「このままでは数字が落ちる」という予感がするのです。
秋葉:信頼関係を築く上で、私は意思を伝える際に「Iメッセージ」を大切にしています。「私はこういう未来を実現したい」「あなたに、この領域にチャレンジしてほしい」。こうした伝え方は、人間だからこそできることです。
坂本:伝え方の工夫は必要ですよね。場合によっては、メンバーが納得できないまま進んでしまうかもしれません。そこで1on1では、各メンバーが持つスキルやナレッジに焦点を当てて、一緒に考えるようにしています。それを私たちが掲げるビジョンやミッションに組み込んだとき、どのようなことが期待できるのかを具体的に落とし込んで話す。これが、チームを強くするポイントだと考えています。
私がメンバーだった頃から尊敬している今の上司は「ミッション」と「ビジョン」が非常に明確でした。なんのために仕事をしているのか、自分に何が期待されているのかは、誰もが気にするところです。これらを援護化することで、メンバーは自分がどう貢献できるかを、はっきりと描きやすくなります。
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藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)
1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。
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