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「AX Day(エーエックス・デイ)」は、翔泳社の「AIdiver(エーアイダイバー)」が開催するオンラインイベントです。表面的なAI活用の事例ではなく、事業成長にまで結びつく“AIトランスフォーメーション”の在り方を徹底深掘りします。

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AX Day focus on Contact Center

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AIdiver編集長インタビュー

AIの進化スピードに、大企業はどうアジャストするべきか?AIエージェント組織を定着させる3つの土台

積水ハウス イノコム、三井住友カードのキーパーソンと探るAI組織の理想とリアル

押久保 剛(AIdiver編集部)[著] / 市川証[写]

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 AIは個人が使う道具から、組織で働く戦力へと軸足を移しつつある。日進月歩でAIでできることが増加する一方、組織への実装が追いついていないのが現実だ。AI開発規制の動きも出ているが「歴史は繰り返す」という言葉のとおり、テクノロジーの進化が止まることはないだろう。本鼎談では、自らAIエージェント8体の組織を設計・運営するAIX partner代表/AIdiver特命副編集長の野口竜司氏の実践を皮切りに、積水ハウス イノベーション&コミュニケーションの木田浩理氏と三井住友カードの白石寛樹氏が意見を交わし、大企業におけるAIエージェント組織実装の現実解を紐解いた。

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人はCEOのみ 8体のAIエージェント組織に、あえて管理職を置かない

 AXが加速する中、AI活用の論点が急激に変わりつつある。トークン量を気にせず、まずは使ってみようという段階から、どのような成果に結びついているのか問われるようになり、AIエージェントが第二の人件費になるという認識も広まりつつある。

 人とAIエージェントをどう配置すれば組織がうまく回るのか。人類史上初の課題に現在進行形で直面する中で、積水ハウス イノベーション&コミュニケーション、三井住友カードという大企業の中でAX推進を担うキーパーソンである木田氏、白石氏は何を思うのか。AI組織の社会実験にいち早く取り組む野口氏の実践を土台に、AIができることと、現実的に企業内に実装することのギャップが浮き彫りとなった。

左からAIX partner代表/AIdiver特命副編集長 野口竜司氏、積水ハウス イノベーション&コミュニケーション CMO兼CDDO 木田浩理氏、三井住友カード 執行役員 マーケティング本部 副本部長 白石寛樹氏
左からAIX partner代表/AIdiver特命副編集長 野口竜司氏、積水ハウス イノベーション&コミュニケーション CMO兼CDDO 木田浩理氏、三井住友カード 執行役員 マーケティング本部 副本部長 白石寛樹氏

 冒頭、野口氏は自身が取り組む人間ゼロで価値を作るAIエージェント組織の取り組み「ZERO HUMAN」について触れ、急激な変化に対してこう整理した。

 「個人業務としてAIを使いこなす話にとどまらず、組織にどうAIエージェントを組み込むかが論点になりつつあります。その一つの切り口が、AIエージェント自体を組織化し、既存の組織に混ぜていく考え方です」(野口氏)

 野口氏の実践は、鼎談の場そのものにも現れていた。この日の議論には野口氏のデジタルツインも同席。会話をリアルタイムで受け取り、論点や質問を返してくる。トークンコストの話題が出れば、部門別損益への反映が必要ではないかと投げかけてくる。

 さらに野口氏は、自身がCEOとなるAIエージェント組織を運用している。経営陣にあたるのが、戦略のKAI(CSO役)、執行統括のRIKU(COO役)、財務管理のKU(CFO役)。現場は実装のTAKU、執筆のFUMI、画像のSOU、そして検査のRYU。これにCEO補佐と全体観測を兼ねるスーパー秘書のSAKURAが加わり、あわせて8体である。野口氏自身はこの組織で唯一の人間として、戦略の決定だけを担う。

野口氏のAIエージェント組織。唯一の人間であるCEOの下に、経営陣3体と現場4体、補佐1体が並ぶ(野口氏提供資料)
野口氏のAIエージェント組織。唯一の人間であるCEOの下に、経営陣3体と現場4体、補佐1体が並ぶ
デスクトップ上での画面の見え方(クリックで拡大)

 特徴的なのは、マネージャーにあたる存在を置いていないことだ。当初はSAKURAが窓口となって指示を割り振っていたが、振り分けるだけではトークンを消費するばかりで情報が素通りしてしまう。一斉に投げかけて手を挙げてもらう形で足りると野口氏は判断し、いまは完全にフラットな構成である。

 ここまでの議論から「同じ仕事が重複したり、AIエージェント同士で役割が競合したりすることはないんですか」という疑問が木田氏から投げかけられたが、野口氏は次のように返した。

 「もちろんあります。たとえば、何か調査するとなった際に、CFO、CSOのどちらが担当した方がいいのかとなります。そういうときは2体呼び出して、協議し報告してと指示を出します。カニバリというより協業のスタイルになってきますね」(野口氏)

 運用ルールはチケット管理制だ。業務を伝えると担当するAIエージェントが手を挙げ、起票し、完了すれば報告する。記録は組織に残り続け、各AIエージェントのメモリーには、やりとりの生ログがまず残り、そこから検証済みの事実(ファクト)へと整形されて蓄積されていく。単発のタスク処理で終わらせず、業務ノウハウを組織知にする。そこにAIで組織をつくる最大の価値があると野口氏は言う。

AIX partner代表/AIdiver特命副編集長 野口竜司氏

野口竜司(のぐち・りゅうじ)。AIX partner代表/AIdiver特命副編集長。AIトランスフォーメーション支援を行うAIX partnerの代表取締役。三井住友カードのHead of AI Innovation、マイナビのExecutive Adviser of AI strategy、コクヨのExecutive Adviser of AI strategy、カウネット社外取締役など事業会社のAI戦略アドバイザーも務める。著書に『ChatGPT時代の文系AI人材になる』『文系AI人材になる』など。

「誰が決めても同じ」と気づいてから、任せる範囲が変わった

 この組織は、毎朝、野口氏抜きで会議を開く。このフローを通じての発見は多く、執行系の役割には仕事が集まり、AIエージェント間に忙しさの格差が生まれた。

 最大の気づきは、レビューの委譲だった。8体からの確認がすべて野口氏に集まり、AIエージェントと働くことでかえって忙しくなった状況を改善するため、自身がフィードバックしていた修正や確認をすべて組織内のログとして残し、分身であるレビュアーのRYUに託した。以来、RYUを除く7体の作業はRYUが一度レビューするため、野口氏が目を通す必要はほとんどなくなったという。

 こうした運用に変えたのが2ヵ月前。さらに最近、もう一歩踏み込んでいる。

 「私が決定していることは、誰が決定してもほぼ変わらないことが多いと気づきました。そのため、最近はRYUにレビューして決める決定権を持たせています。あるいは、CSO、COO、CFOのボードメンバー3体で合意して決める権限を持たせたりしています」(野口氏)

 単体のAIエージェントを育てるOJTではなく、組織全体が自律的に回るOJTが可能なのではないか。野口氏はそう考え始めている。実際、野口氏のAIエージェント組織が運営する「AI rank」は、ChatGPT、Gemini、Claudeの3つのAIに毎月同じ質問を投げ、246カテゴリー・6,689ページにわたって商品・サービスの評価を記録し続ける観測サイトだ。更新はブラウザ操作まで含めてAIで自動化されている。

野口氏のAIエージェント組織が運営する観測サイト「AI rank」。3つのAIに毎月同じ質問を投げ、246カテゴリーの評価を記録し続けている
野口氏のAIエージェント組織が運営する観測サイト「AI rank」。3つのAIに毎月同じ質問を投げ、246カテゴリーの評価を記録し続けている
3ヵ月で246カテゴリー・6,689ページをAIで自動運用した実績(野口氏提供資料)
3ヵ月で246カテゴリー・6,689ページをAIで自動運用した実績
AIエージェントが回すワークフローの例。最終段には分身のRYUによるレビューが置かれている(野口氏提供資料)
AIエージェントが回すワークフローの例。最終段には分身のRYUによるレビューが置かれている

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ゼロから作るなら速いが、「今ある仕事」の置き換えから始まる現実

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この記事の著者

押久保 剛(AIdiver編集部)(オシクボ タケシ)

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年にスタートの「MarkeZine」立ち上げに参画。2011年4月~2019年3月「MarkeZine」編集長、2019年9月~2023年3月「EnterpriseZine」編集長を務め、2023年4...

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