SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

「AX Day(エーエックス・デイ)」は、翔泳社の「AIdiver(エーアイダイバー)」が開催するオンラインイベントです。表面的なAI活用の事例ではなく、事業成長にまで結びつく“AIトランスフォーメーション”の在り方を徹底深掘りします。

直近開催のイベントはこちら!

AX Day focus on Contact Center

AX Day focus on Contact Center

AIdiverニュース

代表電話の取り次ぎをAIで不要に LINE WORKS、新サービス「キャッチコール」を発表

AIdiver編集部[著]

  • Facebook
  • X
  • note

  • Facebook
  • X
  • note

 人手不足が深刻化する中小企業にとって、代表電話の対応は見過ごせない負担になっている。LINE WORKSは2026年10月15日に記者発表会を開催し、AI電話受付サービス「LINE WORKSキャッチコール」を10月19日から正式提供すると発表した。AIが代表電話の一次受付を担い、聞き取った用件をテキストと音声で記録したうえで、「LINE WORKS」や指定のメールアドレスに通知する。

 発表会の冒頭、執行役員 CPO プロダクト統括本部 本部長の大竹哲史氏は、同社の製品戦略を説明した。ビジネスチャットから始まったLINE WORKSは、現在では複数のサービスを展開している。目指すのは、LINE WORKSのID一つで、情報の保存・蓄積から業務の推進、さらには自動化・高度化までをシームレスにつなぎ、現場の業務を楽にすることだという。

 その一環として、この2年ほど注力してきたのが「プラス1」の価値提供である。LINE WORKSに別の製品やオプションを組み合わせることで、たとえばインカム・トランシーバーアプリ「LINE WORKSラジャー」なら本部と拠点の間で音声と文字によるやり取りが、オプションの「LINE WORKSワークフロー」ならトークからの申請・承認が可能になる。

 今回発表されたキャッチコールは、このプラス1の領域を社外からの電話対応へと広げる製品だ。大竹氏は、社外からの電話に関わる領域は今後も拡張していく考えを示したうえで、「まずはキャッチコールから、より多くの皆様の働くが楽になるような世界をつくっていきたい」と語った。

LINE WORKS株式会社 執行役員 CPO プロダクト統括本部 本部長 大竹哲史氏
LINE WORKS株式会社 執行役員 CPO プロダクト統括本部 本部長 大竹哲史氏

 同社はこれまでも、電話応対AIサービス「LINE WORKS AiCall」や音声IVRを提供してきた。独自の音声AI技術による高い音声認識精度を強みとするが、主な導入先は大規模なコールセンターや多店舗・多拠点を展開する企業で、オペレーター業務の効率化に用いられてきた。キャッチコールは、この技術をより幅広い企業に届けることを狙う。事務所や店舗など規模や業態を問わず、代表電話の関連業務を軽減できるというのが製品のコンセプトだ。ターゲットとして、特に中小規模の事業者にフォーカスする。

電話のデジタル化、検討は5割弱も実施は1割未満

 続いて、事業企画本部 AI Planning プロダクトマネージャーの小澤隼貴氏が、開発の背景にある課題を説明した。LINE WORKSが代表電話を運用する従業員5~100名の中小企業を対象に実施した調査(n=1,102)では、代表電話の対応や取り次ぎに、1人あたり1日約1時間を費やしていることが分かった。そのうち重要度の低い電話は4件に1件にのぼる。また、代表電話に出るために出社や残業をしているとの回答も4割近くあった。

 小澤氏が特に注目したのは、電話によって業務が中断することだ。一度手を止めると元の業務に戻るまでに時間がかかる点が、課題の1位に挙がっていた。こうした対応を続ければ、機会損失にもつながる。営業時間外や祝日は電話に出られない。出られたとしても、担当外であれば取り次ぎが必要になる。取り次ぎに時間がかかったり、紙のメモの内容が分かりにくく正しく伝わらなかったりするケースもある。

 また同調査では、5割弱の企業が代表電話のデジタル化を検討しているものの、取り組めている企業は1割未満にとどまる実態も明らかになった。デジタル化を進めるうえで求められる要件としては、用件を正確に聞き取って自動で記録できること、用件に応じて担当者を判断し取り次ぎを無くせること、重要・緊急な電話にすぐ対応できることなどが挙がった。キャッチコールは、これらの要件をカバーしていくという。

LINE WORKS株式会社 事業企画本部 AI Planning プロダクトマネージャー 小澤隼貴氏
LINE WORKS株式会社 事業企画本部 AI Planning プロダクトマネージャー 小澤隼貴氏

AIが用件を聞き取り、取り次ぎなしで担当者に届ける

 導入にあたっては、利用企業が現在使っている電話番号から、キャッチコールに電話を転送するよう設定する。着信するとAIが人に代わって用件を聞き取り、その内容をLINE WORKSに通知する。AIが聞き取った内容はテキストに加えて音声でも保存され、通知は手元で確認できる。そのため、外出中や休日でも重要・緊急な電話を把握することが可能だ。

 AIが企業名を名乗ったあと、相手に会社名や氏名、連絡先、担当者名、連絡がつかない日時を順に尋ね、最後に用件を聞き取る。このうち会社名、担当者名、連絡がつかない日時は、オン・オフを切り替えられる。法人からの電話が多い企業であれば会社名を聞く設定に、個人客が中心であれば聞かない設定にするといった使い分けが可能だ。

 一方で、AIのシナリオや発話内容、質問の順番などは、あえて自由に設定できない仕様となっている。電話をかけた側はAIとの会話に不安を感じやすく、聞き方を少し誤るだけで必要な情報を得られなくなるためだという。キャッチコールでは、AiCallでエンタープライズ向け案件を担当する専任のシナリオライターが、ユーザー体験を考慮して作成したシナリオを採用。利用企業はシナリオ設計を意識することなく、簡単な設定だけでエンタープライズ企業と同様のシナリオによる応対を利用できる。

 通知の内容は、「電話があった」という知らせにとどまらない。誰から、どのような用件で、どこに折り返せばよいか、いつなら連絡がつくかといった情報がまとめて届く。これをLINE WORKSのグループトークで共有すれば、営業電話か顧客からの緊急連絡かといった内容から優先度を判断でき、取り次ぎのメモを介さずにメンバーの中で担当者も決まる。用件が事前に分かるため、必要な確認を済ませたうえで折り返せる。

 受け付けた電話は「受付履歴」画面に蓄積される。1対1で完結し履歴の残らない電話では、取り次ぎや対応が確実に行われたかを追うのは難しい。キャッチコールでは対応後に「完了」のステータスを付けることで未対応の電話を可視化でき、チームで使えるメモ機能で対応内容も管理できる。

クリックすると拡大します

 こうした仕組みによる導入効果として、小澤氏は次の2点を挙げた。

  • 人手不足の緩和:AIが電話対応を代わることで、人が担うべき業務により多くの時間を割ける
  • 離職率の改善への寄与:電話対応による残業や出社が減り、従業員が本来すべき仕事に集中できる

 キャッチコールは2026年2月から先行版として提供されており、すでに約70社が利用している。このうち6社へのインタビューで最も多かったのは、「営業電話が無くなった」という声だった。AIが応答すると、人につながらないと判断した営業電話の多くは途中で切られ、件数そのものが減っていくという。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
この記事の著者

AIdiver編集部(エーアイダイバーヘンシュウブ)

「AIdiver」(エーアイダイバー)は、株式会社翔泳社が運営する、企業およびビジネスパーソンのAIの利活用にフォーカスしたメディアです。経営、ビジネス、日々の業務をAIで変革したい「AIリーダー」の皆さまに役立つコンテンツを発信します。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • note

広告を読み込めませんでした

広告を読み込み中...

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング