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AI時代の全管理職へ セールスフォース・ジャパンの“人事”トップに聞く「今後も代替されないスキル」

セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 人事本部長 鈴木雅則氏インタビュー

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 各社で業務のAI化が進み始める中、「管理職」のあり方が見直されようとしている。進捗管理や資料のレビューなど、AIに代替される業務が少なくないからだ。管理職の存在意義が問われているといっても良いだろう。人事のプロである鈴木雅則氏は、この状況をむしろポジティブに捉えているという。その真意と、AI前提のマネジメント、そして人材育成の本質を訊いた。

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AIで「管理職が楽しい時代」になるワケ

──GE(ゼネラル・エレクトリック)からGoogle、QVC、BMW、そしてセールスフォース・ジャパンと、一貫して人事領域のキャリアを歩まれています。Salesforceは「Agentforce」をはじめとするプロダクト、そして社内業務にもAIエージェントを組み込んでいますが、過去と比較してAI時代の管理職の役割に変化はありますか。

セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 人事本部長 鈴木雅則氏(以下、鈴木):管理職に求められるスキルは、より高度化しています。従来、部下の進捗管理や資料のレビュー、仕事の割り振りといった管理業務に多くの時間を割いていた人は多いでしょう。しかし、そうした業務はAIエージェントが代替できる時代です。そして、この状況は決してマイナスなことではありません。生まれた余剰時間で付加価値の高い仕事ができることを意味します。組織の方向性を決める。部下の感情も含めてチームの気持ちを1つにまとめる。組織内の人間関係も見ながら判断を下す。これらがメイン業務となるわけです。新たなリーダーシップと捉えることもできますが、むしろ管理職が本来やるべき仕事ではないでしょうか。

株式会社セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 人事本部長 鈴木雅則氏
株式会社セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 人事本部長 鈴木雅則氏

──AIの進化スピードは速く、できることも急速に増えています。もはや管理職は不要ではないかとの声も上がっていますが、どう捉えていますか。

鈴木:以前は価値があった「部下に求められたタイミングでアドバイスをする」などの業務は、たしかにAIがこなせるようになりつつあります。ただ、ソフトスキルが求められる領域では、管理職の役割がまだまだ残っているのです。組織の合意形成を行ったり、部下が納得する説明を提供したりする仕事は通常の管理業務よりも高度であり、コミュニケーションの相手が「人間であること」が求められます。

 実際、当社では人事評価の一部にAIを活用していますが、その一方で人間の介在意義も強く感じます。AIを活用すれば、Slack上などから様々な情報を拾い集め、一人ひとりの成果や良い行動、反対に改善が必要な点をすばやく整理することが可能です。しかし、結果をそのまま評価として渡すと、情報がすべて正しくても従業員は抵抗を感じてしまいます。評価者自身が理由を説明できなければ、納得できる評価とはいえない。そのため現在は、AIが整理した情報に基づいて、相⼿に伝わるメッセージなどを評価者に考えてもらうステップを挟んでいます。

 私の経験上、部下は上司からの情報を信頼する傾向があります。加えて、当社内の調査によれば、管理職自身が失敗を恐れずにトライ&エラーを繰り返しているチームのほうが、メンバーのエンゲージメントが高いという結果が出ています。こうした事実を踏まえて考えると、管理職は不要どころかより重要性が増しています。本来の仕事に集中できるため、管理職にとって「楽しい時代」ともいえるのです。

──AIがすばやく合理的に答えを出す中でも、人間の手で時間をかけるべき部分があるということですね。

鈴木:はい。短期的にみれば非合理に思える行為が、中長期的には組織の競争力を高めることも数多くあります。従業員のエンゲージメントが高いほうが、変化を乗り越える力も高まりますし、イノベーションも起こりやすい。AI時代だからこそ、当社はエンゲージメントの高い従業員がどれだけいるかを重視しています。

──現場では、若手がAIをうまく使いこなすことで、上司よりもAIの意見を優先するケースが出てきているようです。管理職にとっては新たな悩みの種ですが、どう対応すれば良いでしょうか。

鈴木:上司・部下の信頼関係をどう築いていくかが鍵を握っています。「このタスクをやっておいて」という指示で終わらせてしまうのはもったいない。手間をかけてでも、自らの経験から得たノウハウを整理して伝え、部下に「納得してもらう」ことが重要です。それに、AIは責任を負うことができません。「何があっても私が責任をとる。だからやろう」と鼓舞できるのも、人間の特権です。

 中には、若手のほうがAIを使いこなしているため、なかなか部下とAIとの間に入っていけないという管理職もいます。しかし、そもそもAIはこの数年で台頭した技術です。若手もベテランも活用の経験値に大きな差はありません。この前提を理解しておくことも重要でしょう。

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社内で生まれる新しい仕事 業務移行で育成をどうするか?

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/707 2026/10/08 08:00

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