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ファミマ・DeNAらが語った、全社的なAI活用が避けられない理由 トップリーダーたちは何を目指すのか

「AI Innovators Forum 2025」で見えたAI時代に勝つ企業の共通項

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DeNA「AIオールイン」の真意 AI×新規事業を成功に導く3つの要点

 午後の基調講演では、ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)の代表取締役社長 兼 CEO 岡村信悟氏、Google Cloud VP 兼 エグゼクティブアドバイザー 平手智行氏が登壇。全社的にAI活用を推進できる企業の共通項を共有した。

 DeNAといえば、会長の南場智子氏が発表した「AIにオールイン」という経営方針が記憶に新しい。岡村氏は「今がAIにとって1番重要な時期。中途半端ではなく振り切ることが必要だ」と、その真意を説明する。この考え方のもと、同社は全事業の中心にAIを据え、見直しを図っている。経営層を含め、全社員をAIネイティブ化する方針だ。

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 これは、ファミリーマートと同様に単なる効率化にとどまらない。「既存事業の競争力強化」と「新しい事業の創出」の両輪を同時に回す。まさに“両利きの経営”といえる。

 実際、同社は既存事業をAIで強化しながら、短期間で2桁以上の新規事業を立ち上げた。とはいえ、今すぐ成果を上げることが目的ではない。岡村氏は「今のうちにできるだけ多くの事業の種を植えておく」と話す。

本当の意味で役立つAIサービスは、今から出てくると予想しています。その前にPoCのスピードを上げて、多くのトライを積み重ねるのは当然の流れです」(岡村氏)

株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長 兼 CEO 岡村信悟氏
株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長 兼 CEO 岡村信悟氏

 その中で、同社は社外との連携にも力を入れている。2019年7月から新規事業開発の仕組み「ベンチャー・ビルダー事業」を開始した。社内外の人材によるスピンアウトを前提とした事業創出、さらには社員の独立起業も積極的に支援している。

 その事例の一つが、元DeNA社員が立ち上げたスタートアップ企業から生まれた「AI社長」というサービスだ。同サービスにより、人材が枯渇している企業や組織でも、AIが社長に代わって自社の方向性を伝えることが可能となる。岡村氏自身、AI社長の市場開拓を支援しているという。DeNAのエコシステム全体で挑戦を後押しする姿勢を示した。

 Google Cloudの平手氏は、DeNAのようにAI活用が進み、新規事業の成功に向かっている企業の特徴として次の3つを挙げた。

現場起点のアプローチ

 現場の社員が日々抱える業務課題、地味だが重要な業務を起点に、ユースケースや新規事業を生み出す。最初から大きな目標を立てるのではなく、小さな成功を積み重ねる。

アジャイルな構築体制

 競争環境の変化が早いため、最初から完璧を目指すのではなく、少人数でいかに早く立ち上げるかにフォーカスする。横軸に「実現可能性」、縦軸に「業務上のインパクト」を置いた4象限でユースケースをプロットし、実現可能性が高く、業務へのインパクトも大きい「右上」のアイデアに注力。プロトタイプをつくって経営層に「やるかどうか」ではなく、「どの順番でやるか」を問う。

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セキュリティとデータガバナンスへの初期投資

 どんなに素晴らしいアイデアでも、情報漏洩の懸念はある。適切な権限に基づき業務を代行する環境の準備を、マネージドサービスも使って並行して進める。

「業務課題への深い理解と、セキュリティガバナンスを担保した上での迅速な実行力が求められます」(平手氏)

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人類史の中でAIを「正解」に──挑戦と失敗のスピードを上げる

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/145 2025/11/12 08:00

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