ブランドは“チーム”で創られる ワークスペースがAI活用の肝
藤井(AIdiver編集部):ファッション業界が非常に長いですよね。
上條(OpenFashion):20年ほどのキャリアの中で、販売員から始まりマーチャンダイザー、EC運営などさまざまな職種を経験してきました。それもあって、自分の職種を「ドメインスペシャリスト」と呼んでいます。ファッションのドメインスペシャリストとして、今はアパレル企業のワールドに所属しながらも、業界ならではのAIプロダクトを生み出してお届けしています。
藤井:OpenFashionやAuthenticAIでテック領域にも携わっていらっしゃいますが、AIの世界に足を踏み入れたきっかけは何だったのでしょうか。
上條:OpenFashionは、かねてからテクノロジーを中心としたファッションDXを展開している会社なんです。生成AIの登場以前にも、たとえば自動採寸や需要予測のAIプロダクトなどを手掛けてきました。それを加速させたのが、ChatGPTをはじめとする生成AI技術です。そのとき、これはDXの時代じゃない、AX(AIトランスフォーメーション)の時代なんだ──そう実感して、いつの間にか深くAIの領域に入っていきました。
AIプロダクトを作る一方で、ワールドでは社内のAI推進を担っています。取り組みを始めた当時は、ファッション業界のニーズに対応したプロダクトがなくて。ChatGPTもテキスト生成が主だったため、たとえば画像生成するには別のツールが必要でした。そこで、ファッション業界に必要な機能を統合したプロダクトとして開発したのがOpenFashionの「Maison AI」です。
「Maison AI」を活用して画像を生成する様子
[クリックすると拡大します]
「Maison AI」を活用して画像を生成する様子
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藤井:それこそ、「人手不足」が課題のファッション業界は、AI活用のメリットが特に得られる業界ではないでしょうか。
上條:その側面はあると思います。また、専門性が高い職種も多いため、各メンバーが等しくスキルを身につけてプロフェッショナルになるまでに時間がかかるんです。こうした部分を補うなど、単純な業務効率化だけでなく技術の継承といった知識レベルでもAIを活用しています。
藤井:そうした取り組みを支えているファッション業界特化型の「Maison AI」とは、どのようなものなのか、詳細を教えてください。
上條:バックオフィス業務に関連した機能も備えているAIプラットフォームです。テキスト生成も画像生成も複数のAIモデルが利用できるようになっていて、各業務に合わせて選べる点が大きなメリットの一つですね。
加えて、私たちが強みだと考えているのが「チームで使える」点です。モノを作ってお客様に届けるとき、一人で完結する仕事はありませんよね。一つのアウトプットを共有できるレベルにまで磨き込むこと、そのアウトプットを他メンバーが常に見られる状態にすることが非常に重要だと感じています。
ChatGPTが流行り始めた当時、AIは個人で使用するインターフェイスがメインでした。それに対して、私たちは最初から「ワークスペース」の中でどう知識を共有するかという思想を大事にしています。誰かが画像生成を自動でできるワークフローを作ったら、同じチームの誰もが使える。そうすると、業務の再現性はもちろん、「あ、先輩はこうやって使っているんだ」と学びが得られます。それによって、AIを活用できるチームに育っていけると考えているんです。
