強制も必要。AI前提の体制作りは「世界を目指す」準備
この1年の間に、MIXIではAIがもはや業務に欠かせない存在となった。全社AI活用率は99%を超え、月間の削減工数は約1万7,600時間に。さらに、年間の削減効果は約10億円にものぼる。ここまでの成果に結びついた要因として、同社のAI活用を引っ張ってきた村瀨氏がまず示したのが「強制力」だ。
「失敗例としてよくあるのが『AIを使う』という手段が目的化することです。しかし、当社ではあえて『全員がAIを使うこと』を目的にしました。なぜなら、AIのすごさは周囲に簡単には伝わらないから。そのため、AIを使うことを強制する決断をしたのです」(村瀨氏)
強制といっても口で伝えるだけでは限界がある。そこで、次の3つの仕組みが作られた。
- 報告:全部室長以上は全AI 戦術のリードとなる。月次レポートだけではなく、ROI算出を義務化する
- 見積もり:AI前提の工数に変換する(AIで8~9割の工数削減実績があるものは最初からその数字で設定)。質の追求と、速さの追求で両立する
- 採用:AIの活用を大前提とし、AIを活用してない人は採用しない
どの部署にもAIのパイオニアのようなメンバーがいる、というのはよく聞く話だ。その人を起点に部署全体のAIスキルを上げようとする例も見かける。一方で、同じだけのAIに関する興味関心を社員全員が持つことは容易ではない。その上、ガバナンスやルールの不足など、業務に関わる全員がAIを使ってみて初めて見えてくるボトルネックもあるだろう。これまでの結果を振り返っても、MIXIの「全員参加」という方向性は間違っていなかったようだ。
同社では、今までの取り組みによってすでに1,600件以上のAI施策が生まれている。次に挑戦すべきは、これらの点を線にすることだという。「『作る速さ』が上がった。これからは『決めて届ける速さ』を上げる」と村瀨氏は意気込みを見せた。
「今年度以降はAI活用率といった数字には言及しません。活用している状態が当たり前だからです。何よりも重要なのはスピード。良いプロダクトを作ってもイベントを開催しても、次の日には模倣される時代です。『仕事がなくなるかもしれない』と考える暇があったら、20、30のプロジェクトを企画して、作って、世界で売って外貨を稼ぐ。AIで作るスピードが上がることで、たとえば現地に出向いてユーザー調査ができる余裕が生まれるかもしれません。もっと世界に出て勝っていかなければ」(村瀨氏)
村瀨氏が全体の方針を示した後、MIXIの経営陣が次の一手を話し合った。ここからはパネルディスカッション形式で当日の様子をお届けする。
