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ストライキで1分間に3万件の問い合わせも…… NiCEに訊くAIが変えるコンタクトセンターの現場

NiCE CAIO/Cognigy共同創設者 フィリップ・ヘルツヴィヒ氏インタビュー

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 今、AIの導入先として注目を集めるコンタクトセンター。その本質的な目的は単なる業務効率化や人件費の削減ではなく、どうプロフィットセンターへ転換するかだ。クラウドコンタクトセンターなどを展開するNiCEは、昨年9月に会話型エージェントAIに強みを持つCognigyを買収し、顧客体験の変革に取り組んでいる。Cognigyの共同創設者であり、NiCEの最高AI責任者(CAIO)を務めるフィリップ・ヘルツヴィヒ氏が、先進事例と日本市場の可能性を語った。

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もはや効率化の話ではない AI×コンタクトセンターが経営戦略に

──現在、NiCEのCAIOを務められています。具体的な役割とミッションを教えてください。

フィリップ・ヘルツヴィヒ氏(以下、ヘルツヴィヒ氏):当社におけるCAIOの責任は大きく2つあります。1つはプロダクト・ディベロップメント。すべてのAI製品の開発と、それらを市場へ投入するGo-to-Market戦略の全責任を負っています。2つ目は、社内におけるAI戦略の推進です。当社のエンジニアに対してAI技術をどう活用させるか、そして社内のワークフローをいかに自動化するか。これらの点に注力しています。

 組織がAIを活用することは、もはやオプションではなく必須。この認識は、米国もヨーロッパも同じです。ただし、CAIOという役職にフォーカスすると、その定義は企業によって異なります。PoC(概念実証)の確立やPoV(Proof of Value/具体的に生み出す価値の実証)を重視する場合もあれば、社内ワークフローの自動化に主眼を置く場合もある。元々はCDO(最高デジタル責任者)が存在し、自動化の進展にともなってCAIOという役職が求められるようになりました。

NiCE 最高AI責任者(Chief AI Officer)/Cognigy 共同創設者 フィリップ・ヘルツヴィヒ氏
NiCE 最高AI責任者(Chief AI Officer)/Cognigy 共同創設者 フィリップ・ヘルツヴィヒ氏

──日本でもこの1年でCAIOという役職が急増しました。それだけ、各社がAI投資に本腰を入れているといえます。そして、具体的なAIの導入先として挙げられているのがコンタクトセンターです。コンタクトセンターのAI化が、事業戦略の一環としてどう機能していると見ていますか。

ヘルツヴィヒ氏:以前は、マーケティング、営業、カスタマーサービスが部門ごとに明確に分断されていました。しかし、AI前提の組織ではそのラインが曖昧になりますし、すでに融合し始めています。たとえば、当社が支援している欧州の航空大手ドイツ・ルフトハンザのAIソリューションは、CSチームや営業なども含めて「デジタル・ハンガー」と呼ばれる全社的な組織が管轄しています。そうすることで、顧客がフライト変更を希望した際にアップグレードを提案するなど、CXの最適化と同時に利益の追求が可能です。

 カスタマーサービス部門やマーケティング部門ではなく、トップマネジメント層がコンタクトセンターへのAI導入を主導するのは、それが利益を追求する経営戦略そのものだからです。コンタクトセンターのAI化は、コスト削減の文脈だけで語られがちですよね。実際に、問い合わせ1件あたりの平均費用を最大85%削減できると、当社の調査で明らかになっています。

 しかし、それだけではなく、AIによるパーソナライズ精度の向上で顧客満足度が最大20%改善されたという成果も出ています。効率化という観点では、AIエージェントを導入することで第一段階の問い合わせに対する解決率が80%を超えたデータもあります。つまり、顧客との接点を収益機会に変えるというより大きな経営的インパクトを秘めているのです。

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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