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なぜAIエージェントが導入止まりなのか? 乱立を防ぎ「少ない数で大きな成果」を上げる企業の共通項

Salesforceが明かす“エージェンティック”な世界観

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AIエージェントはとにかくスモールスタートを 成功事例4つの共通項

 クセラ氏は「特に顧客対応の領域で成功事例が多い」と話す。たとえばフィンエアーやロンドン・ヒースロー空港では、フライトのキャンセルや荷物紛失といった旅行者の質問に対して、AIエージェントが迅速に対応する仕組みを構築した。繁忙時にサポート担当者の増員をせずとも課題解決ができる体制となっている。

 また、米国の大手小売であるウィリアムズ・ソノマはウェブサイトにAIエージェントを導入。顧客の食事や調理器具の購入を支援するセールス機能を追加した。機会損失を防ぎ繁忙期に確実に売上を上げられるようになったという。

 AIエージェントはこれまでのAIと同様に、業務効率化の文脈で語られやすい。しかし、CSなどの領域に配置することで、顧客体験向上による新たなビジネス機会の創出に貢献する。つまり、売上や利益の向上に直結する力を秘めているといって良いだろう。

 先に上げた成功事例について「このような企業には4つの共通項がある」とクセラ氏は話す。キーワードは「スモールスタート」だ。

第1段階:価値を早期に証明する課題の特定

AIで解決できる重要なビジネス上の問題を特定する上で「複雑すぎず、迅速に実行できるもの」を選んでいる。早期に成功を収め、変革の勢いを生むことが重要である。

第2段階:部門連携と継続的なフィードバックの徹底

社内の事業部門とIT部門が強力なパートナーシップを築き、AIエージェントを迅速に構築する。その際、AIエージェントを使用している従業員や顧客からの「明確なフィードバックループ」を組み込むことが不可欠となる。

第3段階:高速な問題特定と即日修正

担当チームはフィードバックに基づいて問題を迅速に発見し「同じ日または翌日には修正する」という高速な改善サイクルを確立する。このスピード感が、AIエージェントの品質を短期間で飛躍的に向上させる。

第4段階:ROIの追跡と全社的な展開

導入の成否を客観的に評価するために投資収益率(ROI)を追跡し、生産性の向上や売上の増加が期待に沿っているかを確認する。この数値による証明が導入範囲を拡大し、社内での賛同を獲得する鍵となる。

 全体的なオーケストレーションを最初から設計しようとするのではなく、まずは実行する。その際に現実的なラインはどこかを見極める。そして、現場からのフィードバックとROIの数値を見ながら改善を繰り返す。このようにステップを説明すると簡単に聞こえるかもしれない。しかし、一筋縄ではいかないのが実際のところだ。クセラ氏は実践に移るためのハードルと、それを乗り越える方法にも触れる。

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「少ない数で大きな成果」が前提 スタート地点を見極める

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/202 2025/12/17 08:00

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