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なぜAIエージェントが導入止まりなのか? 乱立を防ぎ「少ない数で大きな成果」を上げる企業の共通項

Salesforceが明かす“エージェンティック”な世界観

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「少ない数で大きな成果」が前提 スタート地点を見極める

 エージェンティック エンタープライズを目指す上でのハードルとして、多くの企業が直面するのが技術的な課題に加えて「セキュリティへの懸念」と「変革のスタート地点を見極める難しさ」である。

 前者に関しては、Agentforceでは提供開始当初からプライバシーとデータを保護するEinstein Trust Layerと統合し安全性を担保している。必要なガードレール、検証機能、そして監査ログといった仕組みが備わっているという。一方で「何から手を付けて良いかわからない」という迷いに対しては、ワークショップを実施するなどのサポートも行っている。どのユースケースが最も価値を生むか見極める上で、企業が客観的な視点を取り入れることも重要だろう。

 中には期待したROIに達すると確信してから本格導入したいという企業も存在する。PoCの段階で立ち消えになることは珍しくない。クセラ氏は「そんな状況を打破するための新機能としてAgentforce 360には『Agentforce Observability』を搭載した」と説明する。これは、AIエージェントのパフォーマンスと動作を監視・分析・最適化するためのツールだ。期待通りの力を発揮しているかを確認できる。

 もちろん、導入前だけでなく導入後にも課題は出てくる。たとえば、従業員がAIエージェントの利便性に気づき活用が活発化するにつれて発生する、管理されていないAIエージェントの乱立「エージェント・スプロール(Agent Sprawl)」だ。また、従業員の想定外の利用「シャドーエージェント」のリスクも考えられる。せっかく作ったAIエージェントが社内で活用されないというケースもあるだろう。

 「こうした事態を懸念する気持ちはよくわかる」とクセラ氏。具体的な対策としてAIエージェントを管理・統合するためのプラットフォーム「MuleSoft Agent Fabric」があるという。社内で働くAIエージェントを検出し、オーケストレーション・ガバナンス・監視を可能にするものだ。

「そもそもAIエージェントを増やしすぎないで良い。IT側とビジネス側が手を組み、少ない数で成功するAIエージェントの体制を作ることにフォーカスすべきだ。メリットを享受しながら、シャドーエージェント問題を回避できる」

 成功にコミットしたAIエージェントを少数精鋭で生み出すことが、ガバナンスを効かせながら事業価値を最大化する近道といえるだろう。クセラ氏は改めてスモールスタートの有効性を強く訴えた。

「壮大な全社変革計画を描く必要はない。私は小さく始めることで成功している企業を多く見てきた。プロセスの各部分で価値を創造し始めることが重要だ。日本のリーダーたちには、スモールスタートで変革の勢いを生み出し、その成功を数値で証明していってほしい」

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/202 2025/12/17 08:00

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