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【動画】 「まずい」と感じた夜、DeNAは動いた。職域の壁が溶けるとき、真のAXは根付く

ディー・エヌ・エー 加茂 雄亮氏インタビュー

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AIを仕事仲間として扱う時代。DevinとDeNAの「1対N」戦略

押久保:AIとの関わり方が「相談相手」から「仕事仲間」へと変わりつつあるという感覚はありますか。

加茂:そう思います。DeNAでは米国のCognition AIとパートナーシップを結んでいますが(※4)、同社が提供するDevinは、AIをチームメイトとして扱うサービスです。Slack上でDevinにタスクを与え、人間のメンバーと同じように進捗を管理していく。「AIが道具」という感覚とは違い、本当にメンバーの一人のように協働しています。

押久保:そうなると、人間側に求められるスキルも変わってきますね。

加茂:変わってきます。これまでは人間が1対1でタスクをこなしていたのが、AIに置き換わることで1対Nになっていく。1人の人間が複数の役割を越境して担い、AIをマネジメントしながら業務プロセスを変えていく。日本ではマネジメントを避けたがる傾向がありますが、これからの時代、AIというスケーラブルなリソースを動かすマネジメント能力は誰にとっても必要になります。

 バックオフィスやコーポレート職の方でも、これまでエンジニアに依頼するしかなかったGoogle Apps Script(GAS)によるスプレッドシートの自動化を、自分で書いて試せるようになっている。ChromeのExtensionを自作している方も出てきています。エンジニアリングとビジネスの境界線自体が薄くなっていく中で、越境できる人材の価値が高まっています。

 意思決定のプロセスも変わっています。DeNAでは「企画書を作ってプレゼンする」流れをすでに撤廃して、「動くものを持ってこい」というルールにしています。バイブコーディングで作ったプロトタイプで意思決定する。企画・実行・改善のスピードが格段に上がっています。

 ※4DeNA AI LinkがAIソフトウェアエンジニア『Devin』の日本展開を開始

「変化を楽しめるか」。AX推進の本質とこれからの人材像

押久保:AXで壁に当たっている企業の方から、ご相談を受けることもあると思います。共通する課題はありますか。

加茂:深掘りすると、AIとは直接関係のないところでつまずいているケースが多いです。ボトルネックは組織やカルチャー、旧来の仕組みにあって、それをいかに動かせるかという話になる。DXでも同じでしたが、表層的にAIツールを入れても、そこが変わらないとなかなか進みません。

押久保:DeNAさんが推進できている理由として、「面白がり」というカルチャーがあると感じました。

加茂:DeNAでは採用の段階から「面白がれる人材」を求めています。変化や負荷のかかる状況に対して、面白がれるかどうか。イノベーションはインタレストから生まれると思っていて、知的好奇心を持って変化に飛び込める人が世の中を変えていける。

 ただ、そういう人ばかりを集めて自由な環境にしておくと、どんどん好き勝手な方向に走ってしまう(笑)。だからこそ先んじてガードレールを敷く。促すのではなく、早めに抑える。この「面白がり」と「ガードレール」はセットなんです。アクセルとブレーキではなく、どちらもあって初めて速く走れる。

押久保:AXを進めたい方への一言をいただけますか。

加茂:その取り組みを楽しめているかどうか、一度立ち止まって確認してほしいと思います。「ROIを示さなければ」「経営に報告しなければ」と思いつめてご相談をいただくことがありますが、楽しんでやっているかどうかで最終的な成果は変わります。

 経営者の方へも伝えたいのですが、担当者が楽しめるような「仕事の降ろし方」ができると、推進のスピードも深度も変わってくる。変化を楽しめるかどうか——そこが、AXが根付くかどうかを決める一番の要素だと思っています。

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この記事の著者

押久保 剛(AIdiver編集部)(オシクボ タケシ)

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年にスタートの「MarkeZine」立ち上げに参画。2011年4月~2019年3月「MarkeZine」編集長、2019年9月~2023年3月「EnterpriseZine」編集長を務め、2023年4...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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