リソース配分はどう変わるか バック→フロントへの“越境”も不可能ではない
──AI前提に、2026年以降はどのような組織戦略を描いているのですか。
大間:当社ではプロダクトごとに事業部として組織がわかれていますが、各事業部門の中に似たようなオペレーションを組んでいるものもいくつか存在します。それらを機能部として集約し、共通部分をAIで効率化することも検討中です。AI化を軸に、組織を統合していく。これがまさにAI前提の組織設計だと思います。
当社には、AI化の計画を具現化していく部門「AIトランスフォーメーション室」もあり、その中に現場で業務のAI化をサポートする「ソリューションビルダー」と呼ばれるメンバーが在籍しています。現場は常に忙しいため、AI化のために担当者をつけてほしい、組織を組み替えようといわれても「困る」というのが本音。だからこそ、ソリューションビルダーのような存在が多く必要なのです。
現状、ソリューションビルダーは7名でビジネス職出身の非エンジニアです。昨今トレンドとなっているFDEは、基本的にIT職、専門職のメンバーが担当するケースが多いと思いますが、似たような価値を社内のノンテックメンバーから生み出していきたい。今、社内公募で優秀なビジネス職のメンバーを集めているところです。
近い将来、社内で100名のソリューションビルダーを育てたいと考えています。各組織専属のビジネスパートナーとして、人事と連携しながら、組織の組み換えやAI化のプランを提案していく。そんな姿が理想形です。
──社内公募に対する社員の反応はいかがですか。
大間:応募者は非常に多いです。AI時代においてソリューションビルダーのようなスキルを身につけることは、個人のキャリアにとっても大きな価値があると思っていますし、社員にもそう伝えています。
──特にバックオフィスはAIに業務が置き換えられやすいと言われていますが、本当にほとんどの仕事がAI化されたとき、どのようにリソースの再配置をしていくのでしょうか。日本企業にとって大規模なリストラはあまり考えられないため、難しい問いになるかと思います。
大間:AIによって生まれたリソースをどこに向けていくかは、重要な論点です。当社では「越境」というワードに着目しています。AIを活用して職種や役割を越境していく人材をどう配置していくかが、今向き合うべきことだと。
たとえば、ソリューションビルダーはAIによってエンジニアと非エンジニアの境界線が溶け始めている良い例です。全社で使用していた契約や購買のためのSaaSのワークフローを、彼らがAIで構築してリプレイスした事例もあり、直接コストだけでも億単位の利益を生み出しています。
また、私がCAXOを兼務しているからこそ生まれたプロジェクトとして、これまで求人を出していたポジションをどう減らしていくかにも取り組んでいます。もちろん、人員が必要なポジションがあるため採用活動をしているのですが、その仕事自体をAIでなくせば、募集する必要がなくなりますよね。
自分の専門領域を超えて価値を提供していける人材が、組織の標準になる時代が来るのではないでしょうか。
──一方で、バックオフィスで働いていた社員が急にフロント側に異動するといった場合は、ハードルが高いのではないでしょうか。
大間:実は、すでにユースケースが生まれています。当社は「Contract One」というAI契約データベース・取引管理サービスを展開しており、法務部門は当然活用しているため、審査業務の生産性を大きく向上させています。結果的に生まれたリソースをどこに充てているかというと、まさにフロント業務。当社の法務部門のメンバーが、Contract Oneの提供先である顧客企業の法務担当者に対して、AXを軸にコンサルティングサービスを提供しているのです。Sansanらしい事例だと大きな価値を感じています。
