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“なぜ”を聞かずに本音を引き出す ファクトファインディングで変わるAI時代の営業

【AI時代の売れる営業】『セールス・イズ/Sales is』著者が説くファクトファインディング

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ヒアリングとファクトファインディングの決定的な違い

宮田:今井さんは、そんな時代に必要な営業スキルとして、書籍でも紹介される「ファクトファインディング」を挙げていらっしゃいます。ヒアリングとの違いはどこにありますか。

今井:ヒアリングは、表面をなぞる「聞き取り」です。質問はしているけれど、表に出ている言葉を拾っているだけ。たとえば、あまり買う気のないお客様にヒアリングをすると、「今は必要ない理由」を丁寧に説明していただける。そして営業は社内で「ニーズがありませんでした」という報告をして終わる。これがヒアリングの罠です。

 美容院の例で言うと、「どんな感じにしたいですか」と聞いて「短くいい感じに」と返ってきたとき、「はい、短くいい感じで」だけで終わるのがヒアリング。ファクトファインディングは、もう一歩踏み込んで、その言葉の裏側にアクセスしにいきます

 「今回なぜ切ろうと思ったんですか?」と聞くと、「夏で汗がひどくて、ドライヤーする時間もなくて」という話が出てくるかもしれない。そうすると、「短くする」ではなく「セットを楽にする」が本当の目的だとわかる。同じ「短くする」でも、パーマをかけたほうがセットが楽になりますよ、という全然違う提案ができるんです。

宮田:提案の質がまったく変わってきますね。

今井:ただ、1つのテーマを掘り下げるだけだと、お客様が既に認識している情報をより細かくするだけになりがちです。その結果、他社と同じ課題設定、同じ提案になってしまいます。行き着く先は価格競争や機能競争で、営業力の勝負ではなくなってしまう。本当の欲求、まだお客様自身が気づいていないインサイトにたどり着くには、もうひとつの動きが必要です。

チャンクアップで“本当の課題”を掴む方法

宮田:その「もう1つの動き」が、こちらの資料にあるチャンクアップという概念ですか。

今井:そうです。掘り下げていく「チャンクダウン」と、一段上に立ち返る「チャンクアップ」を使い分けることが重要です。

かたまり(Chunk)を分解するチャンクダウン/より大きな概念にアプローチするチャンクアップ

今井:たとえば「営業職の採用を強化したい」というテーマがあったとします。チャンクダウンだけで進めると、「職種は? 何名ですか? 採用活動の課題は?」という質問になる。これはもちろん必要な情報ですが、お客様自身もわかっていることが多く、同様の提案をしてくる競合と差別化できません。

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顕在している課題を掘り下げるだけでは、他社と同じ提案しかできない【クリックすると拡大します】

 そこでチャンクアップ、つまり一段上に引き上げる質問をするんです。「今それをやらなければいけない理由は何でしたっけ」「経営や上司が最近話題にしていることはどんなことですか」と、登場人物を一段上に上げて話すことで、背景にある大きなアジェンダが見えてくる。「成果を出せる人が足りない」「新規事業をどうしても成功させたい」といった、より根本にある課題が出てくるのです。

顧客の顕在課題を掘り下げるのではなく、さらに上の視点の問いを立ててみるチャンクアップのアプローチ

 「成果を出せる人が足りない」というところから「採用以外の方法はないですか?」と聞くと、「今いる人が売れるようになってもいい」という別の分岐が生まれます。さらに「今いる人が売れない理由は?」と聞くと、「教えられる人がいない」という答えが出てくる。元々「営業職を2名採用したい」という話だったのが、対話の中で「本当に必要なのは指導できるマネージャーだ」という新事実が明らかになります。

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チャンクアップで生まれた新たな分岐をチャンクダウンすることで、新事実が見えてくる【クリックすると拡大します】

 こうやって、チャンクアップで生まれた別の分岐の中で新たなチャンクダウンを行い、新しい枠組みをつくることを「リフレーミング」と呼んでいます。対話の中で一緒に見つけた新事実のことを「インサイト」という。これがファクトファインディングの全貌です。

画像を説明するテキストなくても可
対話で見つけた事実のことを「インサイト」と呼ぶ【クリックすると拡大します】

宮田:チャンクアップ/チャンクダウンには、特別なスキルが必要でしょうか。

今井:前提として、業界や領域の知識がないと機能しないんですよ。自分が扱っている領域の全体像を把握していないと、何をどう引き上げればいいかわからないし、お客様の発言のどこに違和感があるかも気づけない。質問技術だけ覚えても意味がなくて、知識と技術が両輪で必要です

 チャンクダウンについても、「なぜ?」を連発するだけだと相手に圧迫感を与えてしまう。「なぜ」以外のボキャブラリーで本音に迫れる、コミュニケーションの技術と言葉の引き出しが問われます。

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AIにできない最後の仕事──“後押し”できる営業が生き残る

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この記事の著者

宮田華江(ミヤタ ハナエ)

MarkeZine編集長 兼 SalesZine編集長。立教大学社会学部メディア社会学科卒業。2016年翔泳社に入社、MarkeZine・ECzineなどの広告営業を担当。2019年1月に営業組織をテクノロジーで支援するウェブマガジン「SalesZine」を立ち上げる。2020年4月、SalesZi...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/592 2026/06/29 08:00

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