SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

「AX Day(エーエックス・デイ)」は、翔泳社の「AIdiver(エーアイダイバー)」が開催するオンラインイベントです。表面的なAI活用の事例ではなく、事業成長にまで結びつく“AIトランスフォーメーション”の在り方を徹底深掘りします。

アワードも初開催!先進AX事例を募集中「AX AWARD 2027」

AI×コンタクトセンター最前線 AIが塗り替える、顧客対応の常識

資生堂が実践「効率化より事業に活きる」AIの使い方 鍵を握るのはコンタクトセンターに集まるVOC

資生堂ジャパン コンシューマーセンター センター長 一木泉氏インタビュー

  • Facebook
  • X
  • note

 AIの台頭によって、顧客からの問い合わせ対応をするコンタクトセンターの現場が大きく変わろうとしている。これまで“コストセンター”とみなされることも多かったが、事業成長へ貢献するプロフィットセンターへの進化をAIが後押ししているのだ。資生堂ジャパン コンシューマーセンターの責任者を務める一木泉氏は、業務効率化以上に「VOCの厚み」に手応えを感じているという。AIを搭載した新VOCシステムを導入した同社が目指す、人とAIの共存の形を聞いた。

  • Facebook
  • X
  • note

AIに聞いてから問い合わせる時代、人間の役割は?

──まず、コンシューマーセンターについて教えてください。

資生堂ジャパン コンシューマーセンター 一木泉氏(以下、一木):お客様対応の部門自体は1968年発足し、これまで58年の歴史があります。今あるコンシューマーセンターは資生堂ジャパンに設置されており、日本国内のお客様に電話やメール、チャットで直接対応しています。本社機能の中で、店頭以外にダイレクトにお客様と関わる組織はここだけです。集まってくるお客様の声は、年間15万弱。コンシューマーセンターに所属する約60名のうち、半分が「コミュニケーター」としてお客様への対応を担っています。

──窓口としての役割が中心なのでしょうか。

一木:それだけではありません。コンシューマーセンターで解決できないことは、全国の事業所や海外拠点とも連携する仕組みとなっています。お客様の声を届けるハブ機能を担っているのです。

 店頭に立つパーソナルビューティーパートナーも、全員がタブレットを持っていて、そこに入力されたお客様の声が、翌日にはコンシューマーセンターのVOCシステムへ一元的に集まります。窓口の声も店頭の声もすべてここで分析し、社内へ届けています。中には耳の痛いご意見もありますが、それを受けてどうすべきかを提言することも、重要な役割の一つです。

資生堂ジャパン株式会社 コンシューマーセンター センター長 一木泉氏
資生堂ジャパン株式会社 コンシューマーセンター センター長 一木泉氏

──これまで、質問が24時間できるチャットボットサービスも展開されてきました。デジタル技術の活用には積極的な印象ですが、AIの台頭による変化はありますか。

一木:お客様の問い合わせ内容自体が変わってきています。FAQなどにも記載している簡単な内容は、皆さんAIに聞いているのでしょう。そのため、窓口に届くお問い合わせの多くは、AIでは解決できない複雑なことやパーソナルなこと、そして感情をともなうご意見です。実際に「AIに聞いたがわからなかった」とお問い合わせに行きつく方もいます。

 そうすると、対応する側にも高いスキルが求められます。解決の難易度が上がり、1件ごとにかかる時間が長くなるのです。そのため、簡単な質問の解決はAIやFAQに任せ、人間のコミュニケーターは気持ちに寄り添う対応にこそ時間を使う。そう切り分けていきたいと考えています。

──AIそのものへの向き合い方は、どうお考えですか。

一木:コンタクトセンターは、電話の仕組みも顧客情報の記録も、システム化が比較的早い業界です。特に、お客様の「言葉」の分析はAIと非常に親和性が高く、1件1件読むだけでは拾えない定量的な分析も可能となっています。ただ、対お客様となるとハルシネーションの懸念がまだ拭えず、当社としてはトライアルを続けている段階です。

 一方、コミュニケーターの支援や情報分析には積極的に活用しています。全社でAI活用の機運が高まっている点でも、追い風です。コールログは全社へ展開しているため、コンシューマーセンターのメンバーに限らず、誰でもお客様の声を分析できる環境となっています。分析の基本フォーマットも、私たちから全社へ共有しています。その上でコンシューマーセンターの分析チームは、他部門よりも高度な分析に踏み込んでいます。

次のページ
AIのメリットは効率化だけか? 手応えは“VOCの厚み”

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
AI×コンタクトセンター最前線 AIが塗り替える、顧客対応の常識連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • note
AIdiver(エーアイダイバー)
https://aidiver.jp/article/detail/621 2026/09/02 08:00

広告を読み込めませんでした

広告を読み込み中...

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング