人がAIに学ぶことも 重要なのは“誰が”ではなく回答の内容
カスハラの報告が不利益にならない仕組みづくり、記録が残る体制、そしてAIによる仲介レイヤーの導入……。withはAIを活用した本格的なカスハラ対策と同時に、CX施策も強化し、守り”と“攻め”を両立する体制を築いてきた。伴走してきた山本氏も「かなり進んでいる企業だ」と評する。実態としては、まだここまでの体制にたどり着いていない企業がほとんどだという。
「コンタクトセンター向けのAIエージェントというと、単なるコミュニケーションツールやチャットボットとみなされがちです。しかし、実際には従業員の離職を防ぐ有効な手段。企業の資産を守ることに直結します。企業がどれだけ真摯にカスハラ対策と向き合っているかは、今後のコンタクトセンターの運用を大きく左右するでしょう。ALFは、基本的なカスハラ対策は当然ながら、業務改善やVOC活用まで一気通貫で対応できるのです」(山本氏)
藤平氏も、多くの企業が直面している状況に危機感を募らせる。
「カスハラを受けた当事者は自分の対応が悪かったように感じてしまい、社内で共有しづらい。とはいえ、報告が遅くなったほうが結果的にリスクが高くなりがちです。だからこそ、自然に可視化できる環境をつくるべきだと考えています。ALFのアカウントがあれば、上司を含めて誰もがすぐにリスクに気づける状態を生み出せます」(藤平氏)
ALFでは、新たなアップデートも控えている。VOCデータを自動で分析し、インサイトを提示する機能がまもなく提供される予定だ。
withのように非対面かつテキストでの対応では、やり取りがかなり長くなることもある。そうすると、なぜその結論に至ったのか、経緯が曖昧になってしまう。すべてのやり取りを確認するには時間がかかるが、ALFの新機能ではAIがVOCを分析して次のアクションを支援するという。これにより、対応する人が異なっても、返信の冒頭に何を記載すべきか、どのような表現が適切かをすばやく判断できる。
さらに、これまでは人のナレッジをALFに学習させてきたwithだが、その逆もあり得る。ALFの回答を社内向けのマニュアルに反映し、ナレッジをより厚くしていく取り組みだ。
「お客様からすれば、回答者が人間かAIかよりも、内容のほうが重要です。AIの良い対応を人がインプットしていくことも、これからは重要な視点になるでしょう」(藤平氏)
こうした取り組みを通じて、withとChannel Corporationは新たなコンタクトセンターの価値を見出そうとしている。
「今の時代、カスタマーサポート以外の場面にもさまざまなリスクが潜んでいます。ALFを活用した取り組みから得たノウハウを生かして、他部署へも横展開していきたい。社内ルールやマニュアル上のリスク判定など、これだけAIがスタンダードになっている中で、社内全体にメリットをもたらせたいです」(藤平氏)
「顧客は『言いたいけれど、直接は言いにくい』。従業員は『聞きたいけれど、感情の矢面に立つことに抵抗がある』。この2つは対立ではなく、実は良い体験を創りたいという同じ目的を持っています。AIが翻訳者となることで、両者をつなげられるのです」(山本氏)

