音声対話AIプラットフォームを提供するVerbexは2026年6月1日、独自のSTT(Speech to Text)・TTS(Text to Speech)モデルを基盤とした音声対話AIの導入形態を拡張したと発表した。従来のクラウド型提供に加え、オンプレミス環境、プライベートクラウドからの閉域アクセス、ガバメントクラウド対象クラウドサービス上での利用を想定した構成に対応する。金融機関、大手エンタープライズ、自治体・官公庁、医療機関、BPO(Business Process Outsourcing)事業者など、厳格なセキュリティ要件を持つ組織での導入が対象となる。
独自STT/TTSモデルで顧客個別のセキュア構成を可能に
Verbexは、STT、TTS、Speech Engineなど音声対話に必要な中核技術を独自に研究開発している。独自の音声認識・音声合成モデルと音声対話基盤を保有することで、外部の音声認識・音声合成APIに依存しない構成を設計しやすく、顧客ごとのネットワーク、データ管理、ログ管理、外部接続範囲に合わせた音声対話AI環境を提供できるとしている。
生成AIおよび音声認識・音声合成技術の進化により、電話応対、問い合わせの一次対応、予約受付、受注対応、代表電話の一次受け、督促、社内問い合わせ対応など、音声対話AIの活用領域は急速に広がっている。同社はこれまで、テレビ通販やEC・通販事業者向けに、放送直後やキャンペーン時の入電集中への対応、定型的な問い合わせ対応の自動化などで音声対話AIを活用してきた。電話がつながらないことによる機会損失や顧客体験低下の解消に活用されてきたケースが多いという。
一方で、金融機関、大手企業、自治体・官公庁、医療機関、BPO事業者などでは、音声対話AIの導入にあたって複数の検討事項が壁になってきた。個人情報・機密情報を扱う業務のデータ管理要件、PBX・CTI・CRMや基幹システムとの安全な接続、閉域網や専用ネットワーク経由での利用、クラウド利用に関する社内規程・業界規制・監査要件への対応、自治体・行政機関におけるガバメントクラウド関連要件、AIの応答ログ・通話ログ・個人情報の取り扱いに関するガバナンスなどである。技術的には活用可能でありながら、本番導入の段階で「クラウドでどこまで利用できるのか」「既存システムと安全に接続できるのか」「セキュリティ要件を満たせるのか」が障壁になるケースがあったとしている。今回の対応拡大は、独自モデルと音声対話基盤を活用し、これらの要件に応えるエンタープライズ・公共機関向けの導入形態を整備したものだという。同社は、外部APIに依存しない構成を取れることで、音声認識・音声合成・応答制御・通話体験を一体で設計でき、顧客ごとの業務要件とセキュリティ要件に合わせた導入を進めやすくなるとしている。
3つの導入形態と想定ユースケース
オンプレミス環境への対応では、顧客企業や機関が管理する環境内に音声対話AI基盤を導入する。外部クラウド利用に制約がある組織や、データを自社管理環境内で扱う必要がある組織での利用を想定し、ネットワーク、データ保管、ログ管理、外部接続範囲を顧客ごとのセキュリティポリシーに合わせて設計できる構成だという。想定する活用領域は、金融機関の顧客問い合わせ対応、自治体の住民問い合わせ対応、医療機関の予約・問い合わせ対応、大手企業の社内問い合わせ対応、重要インフラ企業の代表電話・受付対応、BPO・コールセンター事業者の専用環境でのAI応対基盤などとしている。
プライベートクラウドからの閉域アクセスでは、企業が管理するクラウド環境、専用線、VPN、閉域網などを介し、PBX、CTI、CRM、FAQデータベース、予約システム、受注管理システム、基幹システムなどと安全に連携できる構成を提供する。既存のコンタクトセンター基盤との連携、CRMや顧客データベースへの安全な接続、インターネットを経由しないAI基盤アクセス、BPO事業者による顧客ごとに分離されたAI応対環境の提供、SIerが自社のクラウド・ネットワーク基盤上に音声AIサービスを組み込む構成などのニーズに応えるという。音声対話AIを単体サービスではなく、業務プロセス全体に統合された音声AI基盤として位置づける構成だとしている。
ガバメントクラウド対象クラウドサービス上での利用を想定した構成では、自治体・官公庁および行政向けシステムベンダーとの連携を前提とする。自治体代表電話の一次対応、よくある質問への自動回答、問い合わせ内容に応じた担当部署の案内、開庁時間外の一次受付、庁内職員向け問い合わせ対応、災害時や繁忙期の問い合わせ集中への一次対応などを想定ユースケースとして挙げる。同社は、限られた職員数の中で住民対応品質を維持・向上することが自治体の課題になっているとし、音声対話AIの活用で待ち時間の削減、職員の定型対応負荷の軽減、問い合わせ対応の標準化に貢献していくとしている。
Verbexは今後、金融機関、大手エンタープライズ、自治体・官公庁、医療機関、BPO事業者、SIer、行政向けシステムベンダーなどとの連携を強化し、各業界の業務要件・セキュリティ要件に合わせた音声対話AIの導入を進める方針を示した。PBX、CTI、CRM、予約システム、受注管理システム、FAQデータベース、基幹システムなどとの連携も進め、応答システムから業務プロセス全体を支えるリアルタイムAI基盤への発展を目指すとしている。電話がつながらない状態の解消、定型問い合わせ対応の自動化、人間のオペレーターを高度対応に集中させる業務設計、24時間365日の一次受付、問い合わせ内容の自動分類・記録、繁忙期や災害時の問い合わせ集中への対応など、活用領域の拡大も見込むという。
Verbexは「声で世界をつなぐ」をミッションに掲げるAIスタートアップで、経営メンバーはバングラデシュと日本のシリアルアントレプレナーで構成される。日本を含む25ヵ国で56件の特許を保有する。
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AIdiver編集部(エーアイダイバーヘンシュウブ)
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