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日系企業がAI時代に勝てる理由は「ジョブ型雇用」に失敗したから? 新技術がもたらす人材・組織改革

経営・組織判断の迷いをなくす「ヒューマン・デジタルツイン」とは

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丸紅は新卒学生向けに「AI面談」を導入 あえてPRとして行ったメリット

 数年以内に、ヒューマン・デジタルツインによるユースケースが国内で増えるだろう。では、企業のAI活用の現在地とは。講演には総合商社である丸紅も登壇し、採用における新たな取り組みを語った。

 丸紅が取り組んだのが、新卒学生向けのキャリア共創型プログラム「Marubeni Career College」だ。本選考の前段階にAI面談を取り入れた。採用ではなく、学生自身の自己理解を支援するのが目的だという。同プロジェクトを立ち上げた福永氏は「いきなり本選考にAIを使うのはまだハードルがある。あくまでPRの一環として使った点が良かった」と話す。

丸紅株式会社 人事部 採用課 採用リーダー 福永美華氏
丸紅株式会社 人事部 採用課 採用リーダー 福永美華氏

 このプログラムでは、MQue協力のもと完全オーダーメイドモデル型の会話型面談が構築された。特に、総合商社の分かりづらいビジネスモデルを学生が体験できるようシナリオを組み込んだ点が、大きなこだわりだ。

 その設計思想は、AI単独での効率化を目指すのではなく「人と並走して使えるようなもの」を目指す点にある。人対人の面談の機会も設けながら、それだけでは見極めが難しい要素に焦点を当て、そのヒアリングをAIが担う仕組みとなっている。

 加えて、学生への還元を徹底的に重視した。AI面談での会話を通じて分析された思考特性や行動特性、そして成長機会をまとめたフィードバックレポートを、学生一人ひとりにカスタマイズして戻したのだという。仮に丸紅の本選考に進まない場合でも、学生が自身の就職活動に役立てられる。このレポートでは、学生の強みや成長機会を、丸紅の社員紹介レポートとリンクさせて紹介。これにより、丸紅での具体的な活躍イメージを持ってもらい、自己実現に向けた取り組みを支援した。

 福永氏は「採用CX(Candidate Experience)を追求した」と振り返る。結果的に、学生から「自分の理解に繋がった」というポジティブな声が多く集まり、エントリー者数の増加や参加満足度の向上に繋がったという。

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 丸紅は、この成功事例を単発で終わらせるつもりはない。2025年度からは、AI面談をインターンシップの選考にも活用し始めている。ただし、AI面談の結果だけで合否を判定するのではなく、対人での面接と掛け合わせることで、AIと人間のハイブリッドな選考を実施している。AI面談には実際の仕事をイメージしたシナリオを組み込んでおり、その内容を実際のインターンシッププログラムとリンクさせるなど、採用CXの向上を強く意識した設計が続いている。

 この成功体験にもとづいて、福永氏は「採用という切り口に限らず、既存社員のキャリア開発などにもAIを活用できれば」と、タレントマネジメント領域への展開に対する期待を語った。

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/267 2025/12/23 08:00

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