「机上の空論」で終わらせない 現場の暗黙知を拾い上げるプロジェクト体制
加藤:DAI計画の最終的な構想をどのように描いているのですか。
前田:営業やお客様から、様々なチャネルを通じてDAIというプラットフォームにデータを入力してもらいます。同プラットフォームの中には、KKDを学習した複数の特化型AIエージェントが同居しており、それらが入力されたデータに対して回答を生成するイメージです。
当社はAIリテラシーが高いとはいえないため、プロンプトの入力に差が生まれないように特化型AIエージェントを構築し、誰でもAIの恩恵が受けられる環境を作ろうとしています。実装可能となった特化型AIエージェントから順次社内にリリースしていき、それらを統合するAIエージェントを3年計画で構築していくというロードマップを引いています。
加藤:毎週行われている定例や分科会では、現場の方々をうまく巻き込んでいる印象ですが、体制や進め方のポイントはありますか。
前田:プロジェクトには営業の最前線にいるエース社員に、あえてメンバーとして参画してもらいました。最初のキックオフにも出席してもらい、プロジェクトの意義から伝えるようにしたのです。「AIエージェントを作ること」自体を目的とせず、それが現場でどう使われ売上にどう貢献するかを常に現場視点で検証するためです。机上の空論で終わらせないように、現場のリアルな感覚をプロンプトやデータ構造に反映させています。
まずは納期や商品の特定など、回答に正解があるユースケースから優先して検証を進めている段階です。質問と回答のセットを用意して精度のバラつきをチェックしています。山善ならではの専門用語やお客様独自の商品の呼び方などはデータベース側で整理し、AIが正確に情報を呼び出せる仕組みを構築しています。
一方で、お客様への提案構成や新規開拓の戦略立案といった正解が一つではないユースケースについては、プロジェクトに参画しているトップ営業からフィードバックをもらいながら対応を進めています。もちろん、営業の意思決定に正解があるわけではありませんが、将来的にはそのプロセスをなんとかAIで再現したい。どんな商談だったのか、どんな提案をしたのかといった情報、汎用的な知識レベルが高いAI、さらに各商材間の関係性を抽出する新技術「Graph RAG」も用いて、新たな価値を創造しようとしています。
