ビジョンとは「期限と数字」である
孫氏がまず問題視したのは、AIを語る際の言葉の曖昧さだった。「AIは大切だ、これからAIの時代が来る」と言いながら、どの程度なのか問うと「たくさん」「すごく」という形容詞になってしまう。「形容詞になった途端に、鮮明なビジョンにならない。鮮明なビジョンがないと、戦略は立てられない」と強調した。
だからこそ孫氏は、輪郭のはっきりした「期限と数字」で語ると宣言した。インターネット革命は1995年に始まり、最初の20年でほぼ勝負が決まった。当時トップを取れなかった企業は、その後もずっと取れていない。
AI革命も始まって数年。ここから15年後の2040年に照準を合わせ、スーパーインテリジェンス(超知性)の経済がどれほどの規模になるのか。孫氏流で定義した。
2040年、世界GDPの20%=年間7,000兆円がAIに置き換わる
孫氏が示した数字は明快だった。2040年には世界のGDPの約20%がAIの世界に置き換わる。金額にして年間7,000兆円の売上規模だ。しかも利益率は50%近くに達し、毎年3,500兆円規模の利益を稼ぐ企業がいくつか生まれる、と予測した。株式時価総額で見れば、その存在感は「世界全体の80%ほどになるのではないか」という。
比較対象として孫氏が挙げたのがインターネットだ。「インターネットはせいぜい世界GDPの1%である広告の世界を置き換えたに過ぎない。それでも彼らが富の大半を持つようになった。それが20%を置き換えるとなれば、桁違いの富が生まれる」と、スケールの大きさを示した。
一方、残りの80%は大きく変わらない、とも付け加えた。15年後も今の日常は続き、生活の大半は変わらない。だが20%という数字の破壊力は、それとは別次元だという主張だ。
