SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

「AX Day(エーエックス・デイ)」は、翔泳社の「AIdiver(エーアイダイバー)」が開催するオンラインイベントです。表面的なAI活用の事例ではなく、事業成長にまで結びつく“AIトランスフォーメーション”の在り方を徹底深掘りします。

アワードも初開催!先進AX事例を募集中「AX AWARD 2027」

AX Day 2026 August レポート

AIとの協働のカギは‟言語化”『THE MODEL』福田氏が語る、AI時代を生き抜く経営の要諦

SaaS is not dead. Software is king.

  • Facebook
  • X
  • note

 2026年8月4日に開催された「AX Day 2026 August」。その基調講演に『THE MODEL』著者の福田康隆氏が登壇した。テーマは「AIは経営をどう変えるのか」。5月のAIdiverの取材から3ヵ月、話は次のフェーズへと進んでいた。SaaS is Dead、人的資本×トークン資本、組織デザイン。三つのキーワードから、AI時代の経営の要諦を読み解く。

  • Facebook
  • X
  • note

「支援から完結へ」から「組織への組み込み」に議論は移った

 登壇したのは、SaaSビジネスの成功モデルを示した『THE MODEL』の著者であり、日米のソフトウェア産業を最前線で見続けてきた福田康隆氏だ。

福田康隆氏

福田康隆(ふくだ・やすたか)氏。日本オラクルを経て2004年に米セールスフォース・ドットコムへ転職。翌年、日本法人に移り、9年間にわたり日本市場の成長を牽引(専務執行役員兼シニアバイスプレジデント)。2014年、マルケトに代表取締役社長として入社。2019年、アドビシステムズによる買収で同社専務執行役員マルケト事業統括に就任。2020年1月よりJAPAN CLOUDのパートナーおよびジャパン・クラウド・コンサルティングの代表取締役社長。著書に『THE MODEL』(翔泳社)

 福田氏には2026年5月、AIdiverでインタビューをしている。そこで語られたのは、米国の投資家向けカンファレンスで「生成AIという言葉が消え、AIエージェント一色になった」こと、ITは仕事を「支援」するがAIエージェントは仕事を「完結」すること、そして取りに行く財布が企業費用の約5%のIT予算から、約50%を占める人件費・事業運営費に広がることだ(詳細は同記事を参照)。

 それから約3ヵ月。コールセンターや法務、営業、マーケティングなどの分野中心に、実際にAIエージェントがタスクを実行する事例が増加している。「支援から完結へ」は、もはや前提になりつつあるのだ。

 今回の基調講演で聞き手の押久保が福田氏に投げかけたのは、その先の問いだ。「SaaS is Dead」「人的資本とトークン資本」「組織のデザイン」。この三つは別々の話ではなく、地続きの一つの問いとして読み解ける、というのが講演全体を貫く視点である。

本日の問い(講演資料より)

AIは「育つ」という特徴が、データ保有というモートを無効にする

 これまでも福田氏はSaaSを「ソフトウェアの一提供形態に過ぎない」と整理し、ソフトウェア自体の重要性はむしろ増していると語った。今回はそこから一歩進め、従来のソフトウェアとAIの決定的な違いを示した。「育つ」ことだ。

 「ERPやCRM、マーケティングオートメーションといったこれまでのソフトウェアは、システムそのものが賢くなることはほとんどなく、使う人の能力に価値が依存していました。AIエージェントの場合は、学習できる基盤をきちんと構築し教育していくと、仕事をするたびに賢くなっていく。最近よく『複利の効果』といわれますが、正しく学習ループを回すことでどんどん賢くなり、劇的に生産性が上がっていく。ここが大きな違いです」(福田氏)

クリックで拡大
クリックで拡大

 この違いは、競争優位の源泉、いわゆるモート(堀)の在り方を変える。これまでのSaaSでは「データを持っていること」がモートだといわれてきたが、実態はデータ移行の大変さやエコシステム、多くの顧客がいる安心感といった周辺要素に守られていた面が大きい。

 AIの世界では過去の資産は簡単に移行できるようになり、データ保有はモートにならない。「どれだけ賢くなれるかが、大きな分かれ目になる」と福田氏は見立てる。

 福田氏が示してきた二層構造、すなわち顧客・会計データを構造化して格納するSystem of Record(データを記録・管理するシステム)と、その上に乗るSystem of Action(業務の実行を担うシステム)の整理でいえば、「育つ」のは上の層に乗る業務知識だ。

 System of Recordの重要性は変わらない一方、上の層では簡易なインターフェースをかぶせただけのラッパー的な会社は淘汰され、業務知識を学習ループで磨き込める会社との差が「圧倒的なスピードで」開いていくという。

 スピード感は、普及の面でも桁が違う。福田氏が2001年に米国に駐在した当時、現地ではすでに「ソフトウェア・アズ・ア・サービス」という言葉があったが、日本で市民権を得たのは2014年ごろ。一方のAIは、わずか2〜3年でここまで浸透した。判断を先送りする猶予は、SaaSの時代よりはるかに短い。

次のページ
組織図へのAIエージェントの組み込みが具体化しつつある

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
AX Day 2026 August レポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

押久保 剛(AIdiver編集部)(オシクボ タケシ)

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年にスタートの「MarkeZine」立ち上げに参画。2011年4月~2019年3月「MarkeZine」編集長、2019年9月~2023年3月「EnterpriseZine」編集長を務め、2023年4...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • note
AIdiver(エーアイダイバー)
https://aidiver.jp/article/detail/667 2026/09/18 09:00

広告を読み込めませんでした

広告を読み込み中...

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング