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ANAが掲げた2,700億円のDX投資 AIで目指すノウハウ継承とリソース再配置の理想像

「グループ総デジタル人財化」への具体策

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リスク前提で最適解を探す PoCから実装に移すための考え方

 客室乗務員はもちろんのこと、ANAでは空港対応、整備、運航など多くの職種で専門性と安全への責任が求められる。たとえば航空機オペレーションの現場では、客室乗務員やパイロットの急な配置変更、ダイヤ調整、荒天時における代替便用意といった業務に、すばやく対応しなければならない。ミスがあれば影響範囲は大きいが、同社はこの領域にも、業務特化型のAIエージェントを開発できるプラットフォーム「neoAI Chat」を2025年10月から導入した。社内に存在する膨大な規定文書とマニュアルから、必要な情報をAIで検索する仕組みを構築している。結果として、情報検索時間が従来比で約90%短縮されたという。

「ご存知のとおり、空港は時間との戦いです。判断が遅れれば、安全運航が妨げられます。そのため『判断を下すための情報を探すことに時間がかかる』『専門知識が属人化する』という状況が課題でした。AIを導入することで、問題解決能力を向上しながらヒューマンエラーを防止していきたいです」(村井氏)

 また、バックオフィス側は今後、AIで定時運航のデータ分析や施策展開もおこなっていく。木住野氏は「こうした仕組みによって創出した余白を、安全性や定時性、利便性の向上に活用したい」と意気込みを見せた。

 航空機オペレーションへのAI導入に関しては、成田空港でのPoC開始から本格導入まで約1年。村井氏は「完全にリスクを排除することは難しい」と話す。

「リスクを前提としたアプローチの考えに基づいて、攻めと守りの両輪を回さなければなりません。当社は“新しいもの好き”な企業文化ではあるため、動きは速いほうだと思います。当然、導入にあたってはガバナンスを担保する必要がありますが、検証段階にあわせてガバナンスをコントロールすることで、スピーディーなプロダクト検証を重視しています」(村井氏)

 同社ではAIの利活用に向けて社内で定めた「AI原則」を社外にも発信。DX部門だけでなく、総務・法務を加えたAIガバナンス事務局を設置し、スピードとのバランスを図っている。

「もちろん、すべてのPoCが上手くいくわけではありません。そもそも、判断基準が存在しないケースもあります。そのため、まずはやってみる精神でチャレンジしています。挑戦を重ねることで、成果を生み出し、ANAらしい体験価値の創出を通じてお客様へ還元していきたいです」(村井氏)

「デジタルサービスは、突き詰めればどの企業も模倣できます。しかし、お客様が飛行機をご利用されたときに感じる『感動体験』には、一切の模倣性がない。特に係員や客室乗務員はお客様の前に立つことが仕事です。ANAらしいおもてなしに従業員が集中できるよう、人間中心でAIを活用していきます」(木住野氏)

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この記事の著者

藤井有生(AIdiver編集部)(フジイ ユウキ)

 1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。ウェブマガジン「ECzine」編集部を経て、「AIdiver」編集部へ。日系企業におけるAI活用の最前線、AI×ビジネスのトレンドを追う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://aidiver.jp/article/detail/336 2026/03/05 08:00

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